研究実績の概要 |
メタロイド元素は、金属元素との化合物中において、金属結合のみならず共有結合性やイオン結合性を加味した多様な結合を形成する。そのため、金属―メタロイド系は多種多様な結晶構造を有することで様々な磁性・電気電伝導性を発現し、磁性材料・半導体材料及び超電導材料などへの応用展開が期待される。本研究では、超高圧力反応場を利用し、メタロイド共有結合骨格中に磁性金属鎖を挿入した新規金属間化合物の探索を行い、電気的・磁気的に新たな機能を設計することを目指している。 H27年度は、メタロイドとしてゲルマニウムおよびその等電子系を選び、メタロイド含有比の高い化学組成での高圧合成法による物質探索を中心に行った。特に、遷移金属―ゲルマニウム系において、欠陥ダイシリサイド構造を取るCr-Ge系金属間化合物につき、ゲルマニウム含有比の高い系における高温・高圧生成ダイアグラムを調べ、さらにCr4Ge7が高キュリー点を有する理由を明らかにするため、Cr-Ge系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物にSiを加え、新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物を合成し、その磁気特性変化を評価した。結果として、4つの新規Cr-(Ge, Si)系欠陥ダイシリサイド型金属間化合物Crn( Ge, Si)m(m/n=1.744, 1.755, 1.757, 1.759)の合成に成功した。いずれの相も低温でCurie-Weissの法則に従う強磁性体であり、それぞれのキュリー点がm/nと強い相関性を持っていることが明らかとなった。また、ゲルマニウムと等電子となるメタロイド系として、Al-N、Ga-Nを含めた材料探索を行い、MnGe4型化合物につき、形成条件の絞り込みに成功した。
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