3次元積層造形プリンター(3Dプリンター)の発展によって、コンピュータ上の複雑な3Dオブジェクトがいとも簡単に卓上で造形されるようになり、ものづくりのあり方が変わりつつある。その位置精度の正確さから、医療分野での臓器内の腫瘍部の可視化やカスタムメイドの骨の形成などに応用されようとしている。では、3Dプリンターは、「基礎科学」の観点から、どのようなインパクトをもたらすだろうか?申請者は、これまで数々の構造・機能材料の構造評価に携わり、近年はナノポーラス金属とその応用に注力してきた。そのような中で、3Dプリンターが将来、究極の3次元組織制御のためのツールになるのではないか、と着想した。本萌芽研究の目的は、3Dプリンターによって、幾何学を利用した新奇なポーラス金属を創製し、さらに発展させることで革新的な構造・機能材料へ繋げていくことである。 本年度は、粉末3Dプリンターでのチタン製のGyroid多孔質材料についての作製法を確立すると共に、樹脂製多孔質材料をつくり、表面に金属メッキを施すことで伝導性の新奇ポーラス材料の作製を行った。
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