研究課題/領域番号 |
15K13797
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 大和 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60396455)
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研究分担者 |
井上 雅博 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 講師 (60291449)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナノワイヤー / 透明導電膜 / 有機前駆体 / 銀 / モルフォロジー / アスペクト比 |
研究実績の概要 |
高アスペクト比有機前駆体を合成するために、カルボン酸の種類(C2~C6)や混合の種類、混合比や超音波の照射条件(周波数・出力・時間)がカルボン酸銀のモルフォロジーや構造に及ぼす影響を検討した。結晶構造評価のために、FT-IR、モルフォロジーに関しては、FE-SEMを用いて観察を行い、画像解析によって生成物の短軸・長軸径及びアスペクト比の評価を行った。またカルボン酸の種類や混合比によっては、カルボン酸銀の分解温度も異なり、銀への還元条件も異なるため、TG-DTAにより熱物性を詳細に調査し、基礎データを収集した。 また、金属ナノワイヤーへの還元手法・条件の検討に関して、還元温度やヒドラジン濃度の違いによって、銀ナノワイヤーを構成する銀ナノ粒子の結晶化状態(核生成・生長)が変化し、銀ナノワイヤーの密度や短軸径が変わるため、還元剤の種類や濃度、温度がカルボン酸銀還元のモルフォロジーに及ぼす評価を詳細に検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の実験計画通りに、順調に進んでいる。本成果については、2015年度に招待講演が一件、2016年度も、本研究内容について、国際学会から招待講演を受けている。
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今後の研究の推進方策 |
超高アスペクト金属ナノワイヤー合成のために、高アスペクト比有機前駆体の配列制御技術の検討を行う。短軸径100nm・アスペクト比50の有機前駆体を40本整列させ還元すれば、短軸系が70nmでアスペクト2000の超高アスペクト比の銀ナノワイヤーが得られる。超高アスペクト比を達成するために、有機前駆体の配列手法を検討する。前駆体自身が高アスペクトであるので、インクジェットやエアブラシのノズル径を調整すれば、比較的容易に整列・配列させることが出来ると考えられる。基板のXY方向にそれぞれ配列させることによって、少ない金属量で高導電性と透明導電性を兼ね備えた、金属ナノワイヤーグリッド形成技術を開発する。各種金属ナノワイヤー膜の透明性・導電性を、FT-IRによる拡散反射スペクトル測定、紫外可視分光装置(現有)、低抵抗率計(現有)で測定・評価を行う。また膜の形成状態をFE-SEMで観察し、銀ナノワイヤーの短軸径・アスペクト比・被覆率の画像解析を行い、評価を行う。またフレキシブルなPET基板への製膜を行い、曲げ耐性・基板への密着・接合性の評価を行う。本研究の合成法では、有機前駆体の還元時に銀ナノ粒子が析出し、低融点の銀ナノ粒子がそのまま拡散し、基板と直接接合する特徴を持つ。基板断面をFE-SEMで観察し、金属ナノワイヤーとPET基板との界面を詳細に評価する。膜の詳細な評価は、研究分担者と協力して行う。 以上の項目を実施し、革新的な金属ナノワイヤー合成・金属ナノワイヤー透明導電膜技術を開発する。 また、本成果を積極的に、国内・国際学会で発表する予定である。
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