本研究は、ガラスの密度が対応する結晶よりも大きいという、Gd2O3-MoO3-B2O3系酸化物ガラスの構造と自己微粉化という特異な結晶化挙動との相関を明らかにしたものである。B2O3をTeO2で置換したガラスにおいて、強弾性Gd2(MoO4)3結晶が生成し、検討したいずれの組成もガラスの密度は結晶より大きい。TeO2量が増えると、自己微粉化は急激に抑えられ、しかも個々の結晶粒に見られる周期的な屈折率変化も消失する。TeO2量が多いガラスでは、バルク状の結晶化ガラスが得られる。これは、B2O3の一部を結合力の弱いTeO2で置換することにより、結晶とガラス相界面で歪が大幅に緩和されるためである。
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