研究実績の概要 |
本研究では、微細多孔質ナノトランジスタによるモデル分子検出実験による塩基配列検出メカニズムの検証とナノトランジスタ(微小電気信号検出)によるDNA塩基配列検出システム実現可能性の立証を目的とし、モデル分子-電極間の電位変化を感度良く検出できる新型バイオセンサシステムの実現に向けた微細な素子作製手法の検討とモデル分子を用いた電位検出を行った。 縦型バイオトランジスタにおけるテーパー状微細流路をシリコン基板の異方性エッチング法により作製を行い、電子顕微鏡による微細流路の観察結果、良好なテーパー状微小流路を形成できることを確認した。また微細孔貫通と穴径制御において、光学顕微鏡を用いた透過光の観察と電解液との電気的導通測定によって判断する手法が作製制御において有効であることを示した。また、従来の陽極酸化とは異なる2段階陽極酸化法を採用することで、高規則性の高いナノポーラスアルミナ多孔質構造の再現性が向上した。さらに、DNAの塩基種に相当するアミノ基の数が異なる3種のモデル分子を用いた白金電極に誘起される電位変化測定において、アミノ基が2個と3個の試料を比較すると約20 mVの差が生じ、分子モデル分子種ごとに電位が異なることが判明した。 ポーラスアルミナの孔に減圧溶液注入法により有機半導体(P3HT(poly- (3-hexylthiophene-2,5-diyl)))を注入した縦型ナノトランジスタを作製し、基本的な電界効果トランジスタの動作と約20nAのドレイン電流変調を確認した。
|