研究課題
テトラグライム(G4)とLi塩からなる溶媒和イオン液体[Li(G4)][TFSA] (TFSA: bis(trifluoromethanesulfonyl)amide) および[Li(G4)][NFSA] (NFSA: bis(nonafluorobutanesulfonyl)amide)を調製し、これをTributyldodecylphosphonium TFSA ([P44412][TFSA])、Trihexyltetradecylphosphoniun TFSA ([P66614][TFSA])、[P66614][NFSA]などのカチオン構造に長鎖アルキル基を有する疎水性イオン液体を混合した電解液を調製した。これらの疎水性イオン液体は、カチオン構造に疎水性の長鎖アルキルを有しているため、電解液への大気中の水分の混入を抑制すことが可能であることが分かった。例えば、[Li(G4)][NFSA]と[P66614][NFSA]を1:4のモル比混合した電解液では、温度30度、相対湿度90%の大気下であっても水分の吸収量は1wt%以下に抑制できる。溶媒和イオン液体[Li(G4)][TFSA]および溶媒和イオン液体[Li(G4)][NFSA]と疎水性イオン液体[P66614][NFSA]を混合して調製した液体をリチウム空気電池の電解液として適用し、相対湿度28%の大気下で放電・充電の試験を行った。[Li(G4)][TFSA]を電解液に用いた場合には、電解液が水分を吸収し、その水分が負極のLi金属と反応してLiOHになってしまった結果、放電・充電を繰り返して行うことは不可能であった。一方、[Li(G4)][NFSA]と[P66614][NFSA]を混合して疎水化した電解液を用いた場合、電解液の水分の吸収が抑制された結果、負極の劣化が抑制され、電池の放電・充電を数回程度繰り返して行うことが可能であった。以上のように、溶媒和イオン液体と疎水性のイオン液体を混合することで、疎水性の電解液を調製することが可能であり、この電解液を用いることでリチウム空気電池を大気下で作動させることが可能になった。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 7件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Advanced Energy Materials
巻: 7 ページ: 1601753
10.1002/aenm.201601753
Electrochemistry
巻: 84 ページ: 887-890
10.5796/electrochemistry.84.887
The Journal of Physical Chemistry C
巻: 120 ページ: 23339-23350
10.1021/acs.jpcc.6b06804
巻: 120 ページ: 15792-15802
10.1021/acs.jpcc.5b11642