分子が離散的なエネルギー準位を持つことを利用して、トンネル電流を制御した新しい分子素子を提案することを目的とした。分子としてはp型とn型の半導体分子として、ピセン、フラーレン、もしくはフタロシアニンなどを対象とした。分子膜の上下を絶縁膜で挟み込み、その上下に電極を取り付けたトンネル二重接合を形成し、ここに電圧を印加したとき異なるエネルギー準位に異なる電圧でトンネリングを誘起する多段階トンネル制御に成功した。さらにこのトンネル二重接合にサイドゲートを配線したところ、トンネル電流を変調できた。以上の成果から分子を使った多値スイッチが可能な縦型トンネルトランジスタ開発の基礎が確立できた。
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