タンニン酸水溶液にアミノシランを添加することで、真球状ナノ粒子を合成した。タンニン酸水溶液の濃度、アミノシランの種類、合成時間を最適化することで、目的とする200 nmから300 nmの真球状ナノ粒子を合成できることを明らかにした。また、合成時のpHの影響を詳細に検討した結果、タンニン酸のフェノール基とアミノシランのアミノ基が静電的に相互作用するpH領域でのみ粒子が生成し、さらに、pHが10付近でのみ真球状ナノ粒子が生成することがわかった。以上のことから、タンニン酸とアミノシランから真球状ナノ粒子を合成する反応においては、溶液のpHの値が最も大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。 つぎに、得られた真球状ナノ粒子を焼成することでタンニン酸を除去し、真球状多孔質シリカを合成した。焼成温度および時間を制御すると、真球状多孔質シリカの細孔内にわずかに炭素を残留させることに成功した。UV-Vis吸収スペクトル測定より、炭素含有量が減少するにつれ、吸収端が短波長側にシフトすることがわかった。この結果から、炭素含有量の減少とともに、細孔内の炭素の芳香環の数が減少していることが示唆された。炭素を含有した真球状多孔質シリカは紫外線の励起により、可視光領域にブロードな発光スペクトルを示し、白色に発光することを見いだした。さらに、最適な炭素含有量が存在することも明らかとなった。 この白色に発光する炭素含有真球状多孔質シリカを用いて、コロイド結晶膜の作製を試みた。500 nm/sという超低速で基板を引き上げることで、粒子1層分のコロイド結晶膜を作製できることを明らかにした。
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