研究実績の概要 |
本研究では,ポーラスゲル膜に生じる膨潤誘起パターン変態の機構解明と設計基盤構築に取り組んでおり,本年度の研究業績の概要は以下のようにまとめられる.まず,査読付き論文として英文1編,和文2編であった.また,国際会議での発表が4件(内,招待講演2件)であった.奥村・春日井の日本計算工学論文集(2016)では,膨潤誘起パターン変態の有限要素解析において,疑似負荷パラメータを用いることによって,座屈固有値解析を行う方法について提案し,検証した.この結果として,ダイアモンドプレートパターンが優先的であることが明らかとなるととともに,高次のモードを解析可能となり,ドメインウォールはダイアモンドプレートパターンがブロッホ波で拡張されることによって発生することがわかった(Okumura and Kasugai, ASME-IMECE(2016)).この手法を用いれば,膨潤誘起パターン変態の系統的な解析が可能となるため,設計基盤構築において,重要な役割は果たすことが期待できる.なお,当初,このような成果は予想していなかった.また,ダイアモンドプレートパターンからS字パターンへの分化の詳細解析も成功しており,S字パターンへの分化には寸法依存性があることがわかった(水谷ら,計算力学講演会(2015)).なお,2つのスケーリング指数を用いた自由エネルギー関数を有限要素解析ソフトに実装した.これらを組み合わせた解析を実施することによって,機能性ポーラスゲル膜創製のための機構解明や性能予測,最適設計が実施可能であると考えられる.
|