本研究は、CVD法による触媒やキャリアガス、合成温度、ガス流量等のパラメータの最適化を行い、高い純度の金属性SWCNTフォレストを作製する。そして、CNT間の空間空隙の設計・制御の手法を確立することにより、金属性SWCNTからなる単層カーボンナノチューブシートを創製する。さらに、双層直交構造のカーボンナノチューブシートを最適化することにより、ITO膜を代替する安価かつ大量生産可能なフレキシブル透明導電膜を開発する。本年度は以下の成果を得た。 (Ⅰ)金属性単層カーボンナノチューブの大面積成長 昨年度の成果を踏まえ、カーボンナノチューブシート作製に向けたCNTフォレストの垂直配向度の向上、高密度化、長さの制御、大面積の成長を実現した。 (Ⅱ)単層カーボンナノチューブシートの作製 昨年度の成果を踏まえ、CNTフォレストにより作製されたカーボンナノチューブシートの高密度化、大面積化を行った。 (Ⅲ)カーボンナノチューブシート透明導電膜の作製 高純度なCNTフォレストを用いて作製された単層カーボンナノチューブシートの双層直交構造を実現し、抵抗率、高透過率のカーボンナノチューブシートフレキシブル透明導電膜の作製に成功した。また、導電率の向上を図り、抵抗率・透過率ともにITO膜の値と同程度の透明導電膜の開発を行った。さらに、カーボンナノチューブシートのメリットとして、CNTフォレストから長いシートの作製が可能であるため、透明導電膜の大面積化・低コスト化の検討も行った。
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