研究課題/領域番号 |
15K13834
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平尾 雅彦 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (80112027)
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研究分担者 |
中村 暢伴 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (50452404)
荻 博次 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (90252626)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 電磁超音波センサ / 超音波探傷 |
研究実績の概要 |
本研究では超音波の波長より十分小さい割れの検出を可能にする、超高分解能焦点型電磁超音波センサ(PF-EMAT)を開発する。これはSV波と呼ばれる強い指向性を示す横波を、同心円形状の蛇行コイルと永久磁石を組み合わせる独自の超音波集束技術によって材料内の一点に集束させる非接触のセンサである。 初年度は、ステンレス鋼板に適用するPF-EMATを複数個作製し、駆動周波数や音源の幅(コイルの形状)などが欠陥検出能力に与える影響を評価した。ステンレス鋼板に人工的に導入したスリット欠陥に対して性能評価を行ったところ、高周波のPF-EMATほど空間分解能が高く、小さなスリット欠陥でも有意に検出できることが分かった。一方、低周波のPF-EMATのほうが欠陥サイズの評価に適していることも分かった。これらの結果より欠陥評価に適した周波数が同定された。また、斜角探傷用の圧電探触子と欠陥検出能力を比較したところ、PF-EMATはスリット欠陥に対して傾いた角度で入射しても、信号強度が低下しにくいことが分かった。超音波探傷では、欠陥に対して垂直に超音波を入射したときに強い信号が得られる。ところが、実際に発生する割れは複雑な形状をしており、必ずしも超音波を垂直に入射できるとは限らない。しかしながら、上述の結果はPF-EMATを使えばこのような欠陥を見落とす可能性を低減できることを示している。これまでのところ、板厚20mmのステンレス鋼に対して深さが0.05mmのスリット欠陥であれば有意に検出できることを確認している。また、溶接部を有するステンレス鋼の溶接部近傍に作製したスリット欠陥についても、有意に検出できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PF-EMATの製作、スリット欠陥に対する性能評価、圧電探触子との比較など、いずれも当初の計画通りに遂行しており、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きPF-EMATの改良を行うとともに、応力腐食割れに対する実験を行い、実際の割れに対する検出能力を評価する。また、PF-EMATが作り出す音場をコンピューターシミュレーションを用いて解析し、検出可能な割れの形状や大きさを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の想定よりも効率的に最適なセンサ形状の選定を行うことができたため、センサの材料費において若干の残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後も用途に応じたセンサの作成を予定しているため、センサの製作にかかる費用に充てる。また、成果発表・情報収集の旅費等にも充てる予定である。
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