研究課題/領域番号 |
15K13837
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
高野 直樹 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (10206782)
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研究分担者 |
本間 慎也 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70408334)
田原 大輔 龍谷大学, 理工学部, 講師 (20447907)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口腔インプラント / 力覚体感 / 粘膜 / 骨充填材 / サイナスリフト / 海綿骨ドリリング / 有限要素解析 |
研究実績の概要 |
1.洞底粘膜の力学的特性計測と数値解析 : (1)充填材を用いて洞底粘膜の挙上試験が行えるように装置の改良を行った。 (2)検証のため、2種類のゴム(クロロプレンゴム、シリコーンゴム)を用い、充填材の量を0.03g, 0.04g, 0.05g, 0.06gと変化させ、充填剤が無い場合との比較を行った。得られた挙上距離と荷重の関係およびビデオ観察の結果から、適切な試験が行えることを確認した。 (3)上記の実験結果を細かく分析し、充填材の数値モデル同定の手順を考案した。具体的に、シリコーンゴムを用い、0.06gの充填材を用いた試験結果から、別途シリコーンゴム単体の一軸引張試験を行い、ムーニーリブリンモデルのパラメータ同定を行う手順を考案した。(4)昨年度実施した新鮮屍体を用いた試験結果を整理し、洞底粘膜の数値モデルの同定と、挙上中に粘膜内部に発生するひずみ分布の数値解析を行った。べき乗則の材料モデルとムーニーリブリンモデルの両者を検討した結果、ムーニーリブリンモデルにより新鮮屍体の試験結果をよく再現できることがわかった。材料モデル同定や解析パラメータの妥当性については次年度にさらに深く検討することとした。 2.海綿骨ドリリング時の力覚の数値解析 : 研究分担者の所属機関である東京歯科大学において100名超の学生教育に用いた。本年度は舌側皮質骨穿孔事例の体感を行い、開発装置および手法の有効性を確認した。 3.力覚カルテの詳細設計 : 東京歯科大学学生24名により3例の力覚体感評価を行った結果、相対評価として力覚の定量化が可能であり、手術後に熟練の臨床医が力覚をグラフ化できるめどが立った。臨床医が描いたグラフをエクセルファイルに変換することも可能となった。 4.情報発信 : 論文発表のみならず、日本口腔インプラント学会において機器展示を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海綿骨ドリリング時の力覚体感装置は完成度が高く、当初計画以上の成果が得られている。洞底粘膜および力覚カルテの研究に関しては当初計画通りに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
上顎インプラント手術の中のサイナスリフトを想定した洞底粘膜に関する研究に特に注力して当初計画通りの目的を達成する。海綿骨ドリリング時の力覚体感装置は小型化設計を行い、実用性を高める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の残額46,519円は旅費が計上額より安価であったためであり、研究分担者(本間)の残額38,052円は物品費について同様であったためである。いずれも少額の範囲であり大きな問題はない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は3カ年計画の最終年度である。これまで実支出額の累計額では旅費および人件費・謝金が研究開始時の計画よりも少額でおさえられている一方、その他経費は、研究が大幅に進展した下顎力覚シミュレーターを日本口腔インプラント学会機器展示に出展する際に作成したビデオ編集費のために予定額よりやや多い程度である。したがって、次年度の使用計画についても研究開始時の計画から変更はない。
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