従来,半導体プロセス等において現場適用されていた光散乱型計測法では物理的検出限界に近づいている超平滑加工表面(半導体シリコンベアウエア加工表面等)のナノ付着異物計測法について新概念手法を開発する.具体的には,基板上に滴下した揮発性不活性溶媒の液相界面とナノ異物との近接場における力学的・光学的相互作用を,並列情報処理性,現場適用性の高い遠隔場光学技術で取得することで,非破壊性,高速性を維持したまま,従来異物検出可能サイズ限界を大幅に向上可能な新概念近接場計測プローブ法の開発を目指した.H27年度において基礎実験により,理論的に,1.1%の光量変動値において,10nm 異物検出の可能性を示すとともに,パーフルオロカーボン揮発性不活性溶媒を近接場力学応答検出液相プローブとして適用した実証実験により,提案の自律的欠陥探索・分裂型マルチプローブとしての基本機能検証を行った.提案研究の厳密な実証のためには,ナノ標準粒子の厳密な位置同定が不可欠であるため,引き続きH28年度において,電子顕微鏡を用いたナノ標準粒子検出特性実験を実施した.特に,一般に標準粒子が凝集して存在している場合に,異物検出感度評価が適切に行われない問題に注意して実験実施を行った.その結果,40nm-60nmシリカ粒子が単粒子の状態でも,提案手法の液相プローブが,自律的に複数に分裂しながら欠陥探索し,光学的に遠隔から欠陥検出を実現できることを明らかにした.
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