研究課題/領域番号 |
15K13845
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
溝尻 瑞枝 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70586594)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 微小パーツ / PDMS / 微細加工 / 自己配列 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,インクジェットプロセスと自己組織化プロセスをハイブリッド化することで,3次元微細構造を大面積に実現できるプロセスを創出することである.平成27年度は,自己配列のためのポリジメチルシロキサン(PDMS)微小パーツの作製プロセスについて検討を行った.具体的には,リソグラフィプロセスを用いて,一辺50μm,10μmそれぞれの微小立方体構造を作製した. 初めに,モールドとなるフォトレジスト凹パターンを作製した.50μm,10μmの凹パターンの数はそれぞれ84000個,187000個を一括で作製した.続いて,これらの凹パターンにPDMSを充填させた.充填直後,レジストモールド表面のPDMSはつながっているため,ナイフエッジを用いてレジストモールド表面で摺りきった.PDMS硬化後,エキシマランプを照射することによって,レジストモールド表面の残留PDMSをエッチングした.最後に,レジストモールドをアセトンで除去し,PDMS微小パーツを分離した. 作製したPDMS微小パーツを用いて,微小パーツ懸濁液を作製した.懸濁液の作製は,初めに,PDMS微小パーツをエタノール中で超音波攪拌し,純水を加え,最後に加熱することによってエタノールを蒸発させて作製した.微小パーツは部分的に凝集することが明らかになった. 表面濡れ性を制御した基板上に,微小パーツ懸濁液を滴下し,溶媒蒸発後の微小パーツの自己配列状態を観察した.懸濁液は親水化処理した表面上に比較的集まりやすく,一部のPDMS微小パーツは配列した.しかしながら,溶媒と微小パーツの密度を比較すると,微小パーツの密度の方が大きく,自重によるランダムな配列が多く生じた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,一度に多数の微小パーツを作製するためのプロセスを確立することができた.また,作製した微小パーツを溶媒と混合し,微小パーツ懸濁液の作製も行った.微小パーツの凝集が生じることが明らかになり,今後の研究の推進方策を検討するための知見を得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,PDMS微小パーツの作製プロセスを確立した.その中で,作製した微小パーツを懸濁液中に分散する際,凝集が生じることが明らかになった.また,溶媒と微小パーツの密度差により,微小パーツの自重による配列の影響が大きいことが明らかになった.そこで平成28年度は,凝集を防止し,分散性を向上させるため,界面活性剤の添加を検討する.更に,溶媒を純水以外のより密度の大きな材料への変更や,微小パーツの材料をPDMSより密度の小さな材料を用いることを検討する.更に,微小パーツ懸濁液の滴下による自己配列状態を観察するとともに,金属薄膜を内包した微小パーツを作製し,自己配列させたパターンにレーザを入射したときの回折効率から配列特性を見積もる予定である.
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