研究実績の概要 |
本課題は非晶質時に非晶質時はガラス転移を示し,結晶化後は形状記憶特性を示す,Ti-Ni系金属ガラス/形状記憶合金の過冷却液体域での粘性流動特性を利用した新しい三次元積層造形技術の確立し,形状記憶合金の三次元積層造形物を作製することを目的とした. まず,本合金の過冷却液体域での粘弾性特性を評価するため,スパッタ法により,Ti-Ni-Zrと,新たに発見したTi-Ni-Cuの物性評価を行った. その結果,T-Ni-Zr系,Ti-Ni-Cu系いずれも,ガラス転移温度を超えると粘度が低下していった,但し,結晶化温度付近になると粘性は増加した.どちらの合金系でも,結晶化温度-10から-20℃の範囲で,粘性は最小値を取り,10の10乗オーダーであった,既存のAu系金属ガラスの粘性値(10の8乗)と比較しても非常に高いことが分かった.また,低い粘性を示した温度範囲での熱的安定性を評価した結果,100sから1000sの間に結晶化が起こる事を明らかにした. 三次元積層造形法に用いるTi-Ni-Zr,Ti-Ni-Cu粉末材料の作製をガスアトマイズ法,メカニカルアロイング法を用いて行った. いかし,いずれの手法でも両合金系の非晶質状態での粉末を作製することができなかった.Ti-Ni系金属ガラス/形状記憶合金は,ガラス転移と結晶化温度の差で示される過冷却液体域は,従来の金属ガラスと同等の大きさを示していたが,共晶組成から大きく外れているため,ガラス形成能が低いためと考えられる. 今後は粉末ではなく,作製実績のある単ロール液体急冷法で作製した非晶質リボンを用いた三次元積層造形法を検討していく.
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