研究課題/領域番号 |
15K13847
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
道畑 正岐 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (70588855)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オンマシン計測 / 工具刃先 / 蛍光 / 切削油 |
研究実績の概要 |
本研究は、切削油の蛍光特性に着目し、その切削油からの蛍光を信号として取得することで、切削油で覆われた工具の形状をオンマシンで計測することを目的としたものである。励起光によって放出される蛍光を共焦点光学システムを用いて取得することで工具の表面の位置を得ることができるが、切削油の屈折率があることによって測定誤差が発生するため、この切削油膜の厚みを測定する必要がある。測定で得られる信号は、光学システムの共焦点特性(OTF)と切削油膜のコンボリューションであることが考えられるので、それを利用した手法について検討した。 まず、蛍光共焦点のシステムを構築し基礎実験を行った。次に、水平面における液膜表面と測定表面で得られる励起光の反射光と取得される蛍光の信号を比較した結果、光学系の対物レンズの焦点が蛍光オイルの領域に到達し始めた際、検出される蛍光の信号が急激に増加し焦点が蛍光オイルの内部を透過している際にはおおよそ一定強度の蛍光信号が取得される事が明らかとなり、共焦点信号と切削油膜の明らかな関係性が得られ、この信号のデコンボリューションによる油膜厚さ計測の可能性を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
切削油の蛍光特性評価の基礎実験の過程で、切削油に含まれる添加物の吸光効果によって理論とは異なる蛍光光学特性を示していることが判明した。この原因追求と解明に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは油に蛍光を混入した蛍光オイルを使用した基礎実験を行っていたが、今後は、切削油を実際に用い、工具刃先の計測行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、切削油の蛍光特性を利用する原理であるため、その特性を把握することは今後の計測原理に大きく影響を及ぼす。本年度の初めに計画していた、切削油の蛍光特性が当初の予想に反した結果を示した。これの原因について調査をし、理解するために時間を要したため、その後構築する予定であった蛍光共焦点顕微鏡システムの構築への着手に遅れが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度の結果から、蛍光の特性を精密に測定する必要があることがわかったため、本年はそれらの光学特性を精密に測定評価可能な体制を整える。具体的には、切削油の材料、酸素濃度、屈折率などを評価する必要がある。そのための測定器を共用設備の利用を考えている。また、蛍光を取得するための、光学システムの構築と改良に予算を当てる予定である。
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