作製した組織の使用に際し,評価を行い,その安全性を担保する必要がある.本研究において申請者は機械的特性測定を用いた評価法を提案した. 現状では,人工的に作製した組織の様に小型で発生張力の小さい試料の機械的特性評価を可能とするシステムは存在せず,評価方法が確立していない.また,人工組織は機械的,化学的にも脆弱であり,把持,およびシステムへの固定が困難である.そこで,申請者は専用の評価システム,及び把持具を開発した.開発した評価システムは①引張試験機構,②吸引制御機構,及び③専用ソフトウェアの3つの要素から構成される.また,体外で再構築した組織は機械的,科学的に非常に脆弱であり,通常の把持方法(クランプや接着)での把持は難しい.そこで我々は吸引による組織の把持を検討し,Micro Vacuum Chuck (MVC)の開発を行った さらに開発したシステムを用いて人工組織を用いた評価のシミュレーションも行った.本研究では先ず心筋組織を用いた.心筋組織は組織医療において需要も多く,また機械的特性による評価にも適している.開発したシステムを用いることで心筋組織の拍動特性の評価が可能であることを確認した.また,熱衝撃による影響も確認した.
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