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2015 年度 実施状況報告書

小型・高効率を実現する複合遊星歯車機構

研究課題

研究課題/領域番号 15K13854
研究機関横浜国立大学

研究代表者

藤本 康孝  横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60313475)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード遊星歯車機構 / アクチュエータ
研究実績の概要

本研究では,小型・高効率・高トルク・高減速比の新しい複合遊星歯車機構を提案し,実証することを目的としている。提案する複合遊星歯車機構は,内歯車を持たないため同軸条件を考慮する必要がなく,設計上の制約条件を緩和することができるため,ほぼ任意の歯数の歯車の組み合わせで複合遊星歯車機構を構成することができる。歯車の歯数の組み合わせにより,従来の複合遊星歯車機構では得られない極めて大きな減速比を実現することができる。
平成27年度は,1/100~1/1000の減速比における歯数の組み合わせについて,体積当たりの減速比が極大となる組み合わせを数組抽出し、その中から1/150の減速機構の設計および製作を行った。製作した減速機の駆動試験を行い所望の減速比が得られることを確認した。
設計においては,減速比に加え,体積,歯車強度を考慮した。また,提案する構成の理論効率を明らかにした。さらに,歯車の転位を利用してこれを最適化する手法を提案した。
これらの検討を通して,高い動力伝達効率を得るために基礎となる歯車対の基準効率に非常に高い値が必要になること,および,要求される基準効率を実現するためには固体潤滑を検討する必要があること,などの課題が明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

歯数の組み合わせについて,体積当たりの減速比が極大となる組み合わせを数組抽出し、その中から1/150の減速機構について,体積・歯車強度も考慮しつつ,設計および製作を行っている。また,製作した減速機の基礎駆動試験を行っている。さらに,減速機構の効率を向上させる手法の提案を行っており,当初の予定通りの進捗がみられる。

今後の研究の推進方策

まず,比較実験として従来の減速機構を用いて,様々な動作点における動力伝達効率,バックラッシ,角度伝達誤差を測定する。提案する減速機構とこれらの減速機構の定量的な比較を行い,提案する減速機構の優位性を明らかにする。次に,減速機構の動力伝達効率の向上に取り組む。基準効率の向上策として,歯面における二硫化モリブデンとチタンのコーティング処理を検討する。また,現在の歯車機構の基本構造を踏襲しつつ,効率を向上させる構成を複数検討する。検討に当たっては,高速入力に対応可能な構造とする必要があることに留意する。並行して,減速機構のバックラッシの低減に取り組む。バックラッシは,減速機構をロボットの関節に用いる場合に,エンドエフェクタの制御精度に直接影響を及ぼすため,大きな問題となる。バックラッシの低減のため,ノーバックラッシギヤを用いた複合遊星歯車機構を構成し,バックラッシ量の低減効果の検証を行う。さらに,トルク容量を考慮した最適設計問題に取り組む。減速比が大きくなると相対的に出力軸に伝達されるトルクが大きくなるが,平歯車の歯の曲げ強さとピッチ円半径から許容伝達トルクが決定される。提案する複合遊星歯車機構では,歯車強度の観点からは,各歯車の半径をなるべく近づけて,加わるトルクをできるだけ均一化することが望ましい。一方で,遊星歯車はそのピッチ円半径が小さいほど太陽歯車の周りに配置できる数が多くなり,トルクを分散して負担させることができる。したがって,トルク容量を一定に保ちつつ減速機構の体積をできるだけ小さくするために,両者を考慮した最適設計のプロセスを明らかにし,設計例をとして減速機の設計・製作を行う。さらに,数値シミュレーションにより歯車の応力・ひずみ解析を行い,機構の最適設計に知見を反映させる。モデルと実験の両面から,提案する複合遊星歯車機構の諸性能を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高減速遊星歯車機構を用いたヒューマノイドロボットの高出力化2015

    • 著者名/発表者名
      小布施大志, 藤本康孝
    • 学会等名
      日本ロボット学会学術講演会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2015-09-03 – 2015-09-05

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公開日: 2017-01-06  

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