本研究では,小型・高効率・高トルク・高減速比の新しい複合遊星歯車機構を提案し,実証することを目的としている。提案する複合遊星歯車機構は,内歯車を持たないため同軸条件を考慮する必要がなく,設計上の制約条件を緩和することができるため,ほぼ任意の 歯数の歯車の組み合わせで複合遊星歯車機構を構成することができる。歯車の歯数の組み合わせにより,従来の複合遊星歯車機構では得られない極めて大きな減速比を実現することができる。 平成27年度までに,試作した1/150の2K-H型減速機構において高い動力伝達効率を得るためには,基礎となる歯車対の基準効率に非常に高い値が必要になること,および,要求される基準効率を実現するためには固体潤滑を検討する必要があること,などの課題が明らかになっていた。 平成28年度は,機構の見直しを行い,基準効率を向上させる構造を新たに考案した。さらに,その理論効率の導出および転位を利用した効率最大化手法を開発し,関連特許2件を出願した。同手法を用いて,理論効率97%の1/95の減速機構および理論効率94%の1/198の減速機構の設計を行った。
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