研究課題/領域番号 |
15K13862
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福西 祐 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60189967)
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研究分担者 |
伊澤 精一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90333856)
西尾 悠 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70712743)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 風洞 / 非定常主流 / 非定常空気力 / 空力特性 |
研究実績の概要 |
台風,災害時,噴火した火山の火口付近といった大きな熱源の影響で複雑な対流が起こっているような厳しい環境下で,小型カメラを積載して撮影できる小型無人飛翔体の存在は有用である。このような飛翔体の性能を評価する時,一定風速の流れを作り出す一般的な風洞による試験は意味をなさない。非一様,非定常な流れを作り出す風洞が必要で,それを用いて流れ場の性質を詳しく調べる必要がある。そのため本研究では非定常主流に対する小型飛翔体(MAV)の飛行性能を明らかにするために,突風のような非一様かつ非定常な流れを作りだす風洞の作成とその全速度成分制御法の確立を目的としている。今年度は (1)急激な速度変化を風洞で再現するために小型の簡易風洞モデルを数種類作成し試験を行った。結果として風洞の送風ファンの失速を抑えることを狙い風洞流路に改良を施すことで,一様流の速度変化が従来の非定常風洞と比べて3倍から5倍ほど向上することを明らかにした。また一様流の加速性能に対する風洞拡大部の流路長さの影響を調べるため,三種類の流路長さを試験したところ,加速性能は流路が短い方が高いが,一方で,風洞出口における速度の空間一様性は流路が長い方が優れていることを明らかにした。 (2)境界条件や現有する数値解析コードを改良することで数値解析において非一様主流を再現することを目指した。その結果,渦法を土台とした手法を用いた非一様主流解析向けのソルバを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の当初の計画は急激な速度変化を再現するために小型風洞モデルを作成し,送風ファンの失速を防ぐように改良すること,および簡単な数値解析による風洞の駆動方法と得られる非定常主流の評価であった。前者に関しては改善策が功を奏し,従来の風洞よりも十分に優れた装置が得られた。また流路長さなど平成28年度に作成予定の風洞設計に必要な知見はおおよそ揃った。後者に関しても数値計算のパートに関しても数値解析コードの作成は完了しており,研究遂行の土台は作成できている。これらの結果の一部は国内学会にて既に発表済みである。そのため得られた知見の公表や数値解析による風洞の駆動方法の評価は十分とは言えないが本申請はおおむね研究計画に沿って順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に得られた知見に基づき非一様かつ非定常な流れを作りだす風洞の作成を行う。その後,駆動方法を工夫し,数値計算によるアプローチも含めながら速度3成分の制御法の確立を目指す。特に1)せん断層の速度勾配が時間的に変化,2)せん断層の向きが時間的に変化, 3)局所的な風速が時間的に変化 の3点を達成することを目指す。また最終的には非定常かつ非一様な流れの中で,悪条件中を飛行する小さな飛翔体が遭遇するであろう流れを再現した実験を遂行する。スモークワイヤ法およびタフト法による流れの可視化でおおよその流れ場を把握するとともに,熱線流速計とPIV を用いて流れ場の流速の定量的な計測も行う。実験結果を元に新たな形状の供試体を3Dプリンターを用いて製作し,ダイナミックストール現象を積極的に利用することで効率よく飛行できる理想的な飛翔体形状を追求して行く。
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