研究課題/領域番号 |
15K13866
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
齋藤 隆之 静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (10324328)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 流体工学 / 混相流 / 液膜 / スペクトル干渉 / フェムト秒レーザーパルス / 時間分解計測 / 時間分解照射 / 吸収分光計測 |
研究実績の概要 |
1.時間分解照射による光吸収の低減効果(入射光) ①パルス強度、パルス幅、レンズタイプ、フェムト秒レーザーパルス(以下、FSLP)の超純水内焦点位置ならびに焦点距離をパラメーターとして、超純水中に先導フェムト秒レーザーパルス(以下、P-FSLP)を照射し、時間分解能1psかつサンプリング開始点の時間分解幅100fsにより吸収特性の時間発展を把握し、FSLPの水分子への吸収メカニズムを明らかにした。②超純水、メタノール、アセトンに対して同様の実験を行い、FSLP照射後フェムト秒オーダーの時間領域において生じるFSLPによる分子のイオン化(プラズマ)が、ナノ秒オーダーで発生する気泡核の生成と気泡の成長を決めていることを見出した(国際誌の論文掲載済み)。②上記の結果を基に、遅延フェムト秒レーザーパルス(以下、D-FSLP)による時間遅延照射の効果を把握するとともに、光学系の最適条件を決定した。 2.時間分解照射による光吸収の低減効果(反射光=FSLP干渉OCT用の光信号) ①入射光と同様に反射光の周波数成分ごとの吸収特性を遅延時間ごとに計測するとともに、周波数成分の時間発展を時間分解分光計測により明らかにした。②参照光となるD-FSLPのスペクトル干渉にとって最適なパルス幅と最適なスペクトル干渉の計測時間帯域を見出した。また、D-FSLPの参照光と反射光との最適なエネルギー比を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1) 困難が予想されたFSLP照射後フェムト秒オーダーの時間領域において生じるFSLPによる分子のイオン化(プラズマ)を、高い時間分解能で精密に観測できたこと、 2) フェムト秒からナノ秒までの極めて広い時間領域において気泡核の生成と気泡の成長を決めている因子を見出した。 3) 以上の結果が国際誌に論文として掲載されたこと。
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今後の研究の推進方策 |
1.最適な時間遅延量とFSLPのエネルギー分配率 多光子吸収による励起の光到達深度ごとの時間変化と継続時間をより精密に計測し、最適時間遅延量を決定する。最適なスペクトル干渉が得られるFSLPの初期投入強度、P-FSLPとD-FSLPのエネルギー分配率、D-FSLPの参照光とプローブ光のエネルギー分配率を見出す。 2.FSLP干渉OCTの実現 ①一連の実験により得たノウハウを基に機械的振動に対してロバストかつ時間遅延の高精度設定(設定精度1fs)が容易な光学系を考案し、光学系を改造、改良する。②FSLP干渉OCTの校正対象となる『流動する液膜を計測する既存技術』がないことから、FSLP吸収特性が水に極力近い透明薄膜(数μm〜15μm)をFSLP干渉OCTにより計測する。FSLP干渉OCTによる計測結果と自動薄膜計測装置による計測結果とを比較し、計測精度を確認する。
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