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2015 年度 実施状況報告書

新原理に基づく感圧コーティングによる高感度圧力分布計測システムの実現

研究課題

研究課題/領域番号 15K13874
研究機関九州大学

研究代表者

森 英男  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70362275)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード分子センサー / 流体計測 / 圧力計測 / 発光寿命
研究実績の概要

分子間のエネルギー移動に基づく新たな感圧センサー開発において必要となる,異種分子間のエネルギー移動による消光作用について検証を行った.色素として,ローダミンBおよびフルオレセインの他,ポルフィリン類やルテニウム錯体を含む各種有機色素および無機色素であるZAISを対象とし,異種分子の混合および2層の重ね塗りを行った際における消光作用や分子間エネルギー移動について,消光作用による発光強度低下ならびにスペクトルの違いについて実験的検証を行った.本研究費により導入した分光蛍光光度計システムにより,各種色素の発光スペクトル,および光吸収スペクトルを測定し,相互作用の生じる可能性およびその強さについて検討を行った.
なお,複数種の分子からの発光を分離する際,通常は発光波長の違いを利用するが,感圧センサーへの応用において,複数種の分子の発光画像をカメラにより同時撮影する場合,異なる光学フィルターを設置した複数台のカメラを必要とするなどの問題がある.一方,発光寿命の違いを利用することで,光学フィルターを不要とし,1台のカメラで異なる分子からの発光を分離撮影できる可能性がある.そこで,現有の高速度カメラを用いて,各種色素の発光寿命を実験的に検証し,発光寿命が異なる複数種の分子からの発光分離の可能性を検証した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究課題の初年度となる今年度は,文献調査および分光蛍光光度計システムによる各種色素の発光および光吸収スペクトル測定を通じた,複数種の分子間エネルギー移動や消光作用の検証が主となり,また試験装置および発光画像の測定システムの構築を進めたが,当初の予定と異なり,圧力の違いによる発光の変化を調査するまでには至っていない.
一方,異種分子間のエネルギー移動に基づく感圧センサーでは,2種類以上の分子からの発光強度を分離して取得する必要があり,感圧センサーへの応用の観点からは,1台のカメラで複数種の分子からの発光を個別かつ同時に撮影する手法を実現することで,装置を簡略化できる可能性がある.そこで,発光寿命の違いを利用して,異種の分子の発光を分離する手法の実用可能性について,平行して検証を進めた.

今後の研究の推進方策

本年度は,複数種の分子間におけるエネルギー移動について,発光スペクトルのさらなる精査を行うとともに,試作した圧力センサーにおいて,圧力の違いによる発光の変化を詳細に調査し,特に小さな圧力差に対する発光の変化が大きく現れる,発光分子の組み合わせを明らかにする.あわせて,開発した圧力センサーの温度感度についても検証を進め,圧力分布計測における温度誤差の低減手法を検討し,圧力センサーの精度向上を実現する.
あわせて,同時進行により取り組んでいる,発光寿命の違いを利用した異種分子の発光分離手法の実用化を推し進め,感圧センサーによる圧力計測システムの構築において,カメラを1台のみとし,かつ透過率の小さい狭帯域光学フィルターを不要とすることで,感圧センサーの発光を撮像する際の光強度を高める.これらの手法の実現により,圧力計測システムの簡略化および感圧センサーのSN比の向上を目指す.

次年度使用額が生じた理由

本研究の実施に必要な分光蛍光光度計システムを導入するにあたり,研究計画立案時の経費算出において考慮していない値引きキャンペーンが研究費交付時に実施され,ちょうど必要仕様を満たした装置を当初予想より安価に導入できたため,残額を消耗品に振り分けることができた.そのため,感圧センサーの励起に必要なハイパワーLEDチップなどを購入するなど,消耗品費の使用額は交付申請時より大きくなっているが,結果的に初年度交付額に残余が生じている.

次年度使用額の使用計画

前述の通り,現在までの進捗状況に遅れが生じており,当初の研究成果を得るため,次年度の実験的解析を進めるにあたり,試薬や材料費,光学部品を中心とした消耗品の次年度使用額が当初計画より増えることが予想される.一方,当初計画では,現有のキセノンランプおよび光学フィルターを用いて複数種の発光分子の励起を行う予定であったが,励起光強度の観点からは,ハイパワーLEDチップを用いる方が有利である.しかしながら,発光分子種ごとに最適な励起光波長が異なるため,様々な発光波長のLEDチップが必要となる.そのため,次年度使用額の増額分を,これらの消耗品費に充てる計画である.

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公開日: 2017-01-06  

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