研究課題/領域番号 |
15K13878
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤田 修 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10183930)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 燃焼 / Oxy-fuel燃焼 / すす / CO2 / 加熱炉 / 高温空気 / 輻射 / 微小重力 |
研究実績の概要 |
Oxy-fuel燃焼は、CO2削減の抜本的技術となりうるものである一方で、この手法を加熱炉へ導入しようとすると、火炎におけるすす生成が極めて少なくなり熱放射強度の不足が問題となる。そこで、本研究でOxy-fuel燃焼で想定される雰囲気条件(CO2,高温度)におけるすす生成条件を明らかにするとともに、その機構を基礎的立場から明らかにしようとしている。このような目的のもとに、本年度は2つの実験的研究を推進した。 (1)気体燃料のすす生成条件の検討 Oxy-fuel環境の特徴であるO2/CO2環境でのすす生成特性の検討を進めた。本年度は、燃料噴流火炎(燃料はエチレンを使用)の成分と温度を任意に変化させる実験装置を構築した。また、この装置により雰囲気温度条件、酸素濃度を変化させる予備的試験を実施した。この結果、雰囲気温度が高いほどすす生成が増加し、酸素濃度に対しては特定の濃度条件付近ですす生成量が極大となる傾向が確認されている。また、本装置を、次年度予定されている微小重力実験に対応させる作業を実施した。 (2)液体燃料火炎のすす生成特性の検討 すす生成特性を液体燃料に対しても取得できるよう、装置制作および系統的実験を実施した。液体燃料の実験に関しては燃料供給量の制御が難しいことから灯芯燃焼方式を採用し、燃料供給量、燃料組成等を変えながら、雰囲気成分がすす生成に及ぼす影響の検討を行った。この結果、すす生成特性は灯芯燃焼により良好に評価できること、すす生成量は燃料供給量と対応して増加すること、液体燃料の場合は燃料の成分がすす生成に支配的影響を持つことなどが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、雰囲気ガス組成、温度条件を任意に制御できる装置を制作し、地上予備試験を実施した。しかし、装置制作に予想以上に時間を要し、微小重力実験を含めて変数を詳細に変化させる実験を十分に行うことが出来なかった。しかし、全体計画の中では装置制作が最も時間を要する部分と考えており、全体として若干遅れ気味であるが、次年度の実験により十分に計画を遂行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験変数の系統的な変更によるすす生成条件の取得を行う。また、本研究のユニークな部分となる落下塔による微小重力実験を実施し、周囲流動とすす生成の相互関係の議論を可能にする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本計画で最も予算を要する微小重力実験が、装置開発の遅れにより実施出来なかったため、ここに要する予算を次年度へ持ち越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は計画に沿って微小重力実験を実施することから、持ち越された予算はこのために費やされることとなる。また、地上試験、研究成果の対外発表等を積極的に実施する。
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