研究実績の概要 |
平成27年度に実施した本研究に関する実験は大きく分けて3つより構成されている。非共溶性混合媒体(FC72/Water)を用いた「プール沸騰実験」, 「円管流路による強制流動沸騰実験」, 「狭隘流路を用いた強制流動沸騰実験」である。 ①プール沸騰の実験において、サブクール沸騰が実現していることを確認した。非共溶性混合媒体の沸騰では高沸点低密度媒体にかかるサブクール度が大きいほど限界熱流束は大きくなる。一方で実際の冷却を考えた時に重要となる伝熱面温度は、非共用性混合媒体のそれは各成分媒体単成分の間の値となり、高沸点低密度媒体にかかるサブクール度が大きい場合においても伝熱面温度が非常に高くなる。そこで低沸点高密度媒体に対しても高いサブクール度となるような非共溶性混合媒体の組み合わせを見出して、その欠点である限界熱流束の低下を抑えることを考案した。 ②加熱区間に円管流路を用いた実験では、内径7mmの管内に非共溶性混合媒体混合を流し実験を行った。それぞれの流量割合と混合媒体の全流量を最適化することにより、含まれる媒体が単成分の場合と比較して熱伝達特性に優れた熱流束領域が存在することが明らかとなった。 ③優れた熱伝達性能を持つとされる狭隘流路を用いた実験では、プール沸騰および円管と同様に、Water単成分と比較して伝熱促進効果が観察された。低熱流束条件では、FC72の流量割合が大きいほど良好な熱伝達特性を示すことを確認した。一方、高熱流束域ではFC72の沸騰による急激な気泡成長に起因する流動不安定や、伝熱面上のWater液膜がFC72 蒸気相からせん断力を受けることで発生する液膜破断により伝熱劣化が生じることが判明した。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請時の使用内訳額で、物品費1,150,000円、旅費200,000円のうち使用額は無く、他費目とあわせて1,364,000円の残額が生じている。これは、プール、円管および狭隘流路を用いた全ての実験において、非共溶性混合媒体の存在比率が熱伝達特性に与える影響を調査したため、既存の実験装置で実験実施が可能であったことが挙げられる。データ計測や流動様式の観察等には現有のデータロガーや高速度カメラを使用したため、それらの物品に係る費用が発生していないのも理由の一つである。次年度は、強制流動沸騰試験において新たな流量における知見を得るためのポンプの改良に、繰越した費用を充てるとともに、圧力損失低減に向けた配管の改修も行う予定である。 旅費の使用額が発生していないのは、関連研究の発表や調査に際し、適用が可能な運営交付金などから費用を充当したためである。次年度に海外も含めて発表する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由を踏まえ、平成28年度は以下の予算使用計画で進める予定である。尚、※印は繰越額(計:1,364,000円)を表す。 物品費(2,300,000円, うち※1,150,000円)は、主に試験装置の製作、補修および調整費(1,000,000円, うち※1,000,000円)とし、他、配管材料、試験液体、カートリッジヒータ、熱電対等の消耗品(1,300,000円, うち※150,000円)とする。国内外の学会発表のための旅費(500,000円, うち※200,000円)を、国内旅費として 100,000円(うち※100,000円)、外国旅費として 400,000円(うち※100,000円)を使用する。人件費・謝金として計上するものは無い(0円)。その他、会議参加登録費用等として 64,000円(うち※14,000円)を使用する予定である。
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