従来の透過光による気液二相流の可視化では、定性的な流動パターンは大まかに確認できるものの、原理的に気泡の立体構造の情報が欠落することになる。また、気泡の立体構造を把握する手法として、レーザーシート光を気泡に照射することにより断面(スライス)画像を取得する方法が考えられるが、気液界面でのハレーションが気泡幾何形状の輪郭を計測する上で大きな障害となってくる。そこで本研究では、次のような光の波長の違いを利用した気泡断面画像の可視化法を新たに提案した。(1)蛍光色素であるローダミンB を注入し、液相を蛍光できる状態にする、(2)レーザーシート光(波長532 nm)を照射した場合、気液界面でハレーションは生じるものの、液相のみオレンジ色(波長は約590 nm)に蛍光することになる、(3)シャープカットフィルター(例えば、560 nm 以下)を用いて、気泡部分の波長の光を遮光すれば、気泡幾何形状が抽出されることになる。 本可視化法から得られた画像に対して二値化処理を施し、気相部分を抽出することにより、低クオリティ領域での現象について検討することが原理的に可能となった。特に、気液界面の判別では,ロンキー・ルーリングを導入し、入射光の縞模様が気液界面では屈折して写り込む現象から、気液界面が容易に判別可能となる。また、本可視化法は気泡流のような流動状況で極めて有効であることが示されている。 気液二相流のモデリングにおいては、局所体積平均という概念が用いられ、局所体積平均の発散定理が基盤となっている。気泡に作用する抗力などを局所体積平均の発散定理から導出する試みがある。しかしながら、この発散定理に関してはいくつかの疑問(微分可能、圧力補正)も投げかけられている。そこで本研究では、レイノルズ輸送方程式を詳細に検討することにより、局所体積平均の発散定理を修正した。
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