超音波振動でロータを摩擦駆動する超音波モータは、大きなトルク-重量比が得られるため、ロボット用途などに期待される。しかし、振動による摩擦制御の動作が不十分なため、効率は50%以下、寿命は高々数千時間であった。 本研究では、超音波モータの摩擦駆動部に潤滑油を導入し、振動による潤滑特性の動的変化を積極的に活用することで、複合振動子型超音波モータの効率を70%程度まで引き上げた。これは、駆動力に寄与しない振動の負の半周期に残留する摩擦力を流体潤滑により低減し、正の半周期では境界潤滑により必要な駆動力を発生できるためと考えられる。潤滑油の性質やロータ接触面の材質・形状などの影響も実験的に検討した。
|