研究課題/領域番号 |
15K13898
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
小松崎 俊彦 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (80293372)
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研究分担者 |
岩田 佳雄 金沢大学, 機械工学系, 教授 (90115212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 機械力学・制御 / 動力伝達装置 / 制御機器 / 機能性材料 / 磁気粘性材料 |
研究実績の概要 |
平成27年度の取り組みでは,磁気粘性コンパウンドの生成方法及び基本特性評価を中心とした検討を実施した.本研究課題が狙いとする材料の物性領域は固体と液体との間の領域であるが,クラッチ等の機構へ応用するには流動性の確保が必要なことを念頭に置きつつ,分散微粒子の沈殿を回避するために,ベース粘度の高い基質シリコーンコンパウンドを選択し,基質内に磁性粒子を分散させた.さらに,基質は同一条件に固定し,分散粒子径,含有率の異なるサンプルを複数作成した.一方,提案材料の物性としては,主に磁場に応じた降伏せん断応力の変化に着目し,磁気粘性流体に関する過去の研究例を参考に,磁場下でせん断応力の評価が可能な回転式粘度評価装置を製作した. 以上のサンプル,粘度評価装置を用いて,印加磁場に対する粘性係数,降伏せん断応力の評価を行ったところ,既存の磁気粘性流体等と同様,前者については磁場に対する変化は小さいが,降伏せん断応力については2A程度の印加磁場に対して10倍以上の特性変化を示した.ただし,基礎粘性の高さゆえに,磁気粘性流体ほどの変化倍率を確保するまでには至っていないこと,及び磁場印加に伴って材料が固体化してしまい,サンプルが装置の充填部から漏れ出して正しい評価ができない問題が生じたため,次年度はその対策が必要である.なお,配合の異なる各材料を静置して沈殿性の評価を実施したところ,磁性粒子含有率の低いサンプルでは粒子沈降による相分離が観察された.その一方,配合条件によっては混合物にチキソトロピー性が生じるため,これをうまく利用すれば,目標とする物性の一部を達成できる可能性がある.この点については次年度も引き続き検討していきたいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の検討目標に掲げていた提案材料の物性状態は,当初にイメージしていた状態に非常に近いところまで再現できていると考えている.ただし,磁場に対する物性の変化については当初予想の範囲に収まらず,製作した装置の評価可能な範囲を超えてしまったため,次年度も引き続き,物性評価装置の改良が必要であるという点において区分に示したとおりの自己評価を選択した.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の検討で明らかとなった,急激な物性変化に評価装置が対応できない問題については次年度も引き続き検討を行い,解決を図ったうえで,サンプルの物性の再評価を実施する.さらに,次年度は提案材料を工学的に応用する試みとして,磁場の印加によって入出力軸間の伝達トルクを可変にできるクラッチ装置の製作と性能評価を実施し,実用上適用可能な負荷領域を見出す.また,磁場のみならず温度がトルク伝達特性に及ぼす影響なども調査する.
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