研究課題/領域番号 |
15K13899
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
寺嶋 一彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60159043)
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研究分担者 |
田崎 良佑 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70644467)
三枝 亮 豊橋技術科学大学, 人間・ロボット共生リサーチセンター, 特任准教授 (80386606)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 介護 / ハプティクス / VR / インターフェイス / 3D-CG / リハビリ訓練 / 訓練シミュレータ / 視覚情報 |
研究実績の概要 |
ユーザーがある作業に対して訓練を行うためのシステムについて,実際の対象物を用いて訓練を行うのではなく,仮想的に訓練を行うことができるようになってきた。CGやバーチャルリアリティを利用した訓練システムである。介護の分野では,被介護者の訓練のために,主に視覚情報を与えることによるVRシステムが開発されている。また,被介護者の機能回復のために,力覚的刺激を与えることのできるデバイスを用いた訓練システムも開発されている。一方で,介護者自身が訓練をするためには,例えば,実際の人間を相手に練習したり,介護用のダミー人形を使うことで訓練をする。しかしながら,先行研究では,力覚と視覚を統合したVRシステムによる介護訓練を目的としたものはない。本研究は,介護の分野に関し,ユーザーとなる介護者が,介護動作を学ぶための,仮想空間内(VR)での介護訓練シミュレータを構築する。介護者の動作計測技術,3次元コンピュータグラフィックス(3D-CG)技術と新たな体全体のハプティックインターフェイス技術を統合し,介護者に力覚と視覚にリアルタイムでフィードバックを与える革新的な介護訓練システムを構築する。身長,体重,障害度をモデルパラメータの変更ででき,人やマネキンを用いず訓練ができ,最適介護動作なども教示できる介護・リハビリ分野の訓練システムとして画期的なものである。今年度は、介護者,介護者の生体物理モデルの生成およびシミュレーションの構築を行った。全身型ハプティックインターフェイスを構築し,介護動作姿勢の力覚提示アルゴリズムを開発し仮想空間との統合を行った。筋骨格モデルによる最適化技術や熟練者の介護動作を参考に,開発訓練システムで理想的な介護動作を行うための理論及び訓練評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハードウエアとソフトウエアのシステムがほぼ完成した。しかし,腰部の力覚インターフェイスが未完成であった。それ以外は,ほぼ当初の目標を達成することができた。今後は,これらを統合し,思い通り動くシステムに構築していく。
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今後の研究の推進方策 |
(1)様々な被介護者モデルの生成: VR技術は仮想空間で訓練を行うため,パラメータの変更のみで,被介護者の体型や障害の程度などを自由に変更することが可能である。よって本研究ではVR技術を採用し,被介護者のパラメータとしては①身長,②体重,③障害の度合いの3つとする。(2)音声インタラクションの導入: 音声インタラクションを導入することで,声掛け動作を教示することにより実践的な訓練システムの構築を目指す。外国人介護士を教育する大きな問題として言語の壁がある。音声インタラクションによって,その介護士の母国語を組み込むことで,言語の壁がなくなり,正しい介護動作及び言語習得も可能となる。(3)理想的な介護動作の確立: 現場では間違った介護動作によって腰を痛める介護士は少なくない。理想的な介護動作とは腰への負担を下肢で補うような動作をいう。そこで,本研究ではモーションキャプチャシステムを用いて,訓練者の腰及び下肢の各関節をつなぐリンクを取得する。そのリンクの関節の曲がり具合から下肢の使い方を評価し,音声インタラクションや視覚または力覚によって理想的な介護動作の教示を可能とするシステムの構築を目指す。(4)介護ロボットの介護能力評価への応用: 本訓練システムの対象を人だけでなく,ロボットにも拡張し,介護ロボットの介護能力評価への応用を提案する。介護ロボットの動きが自然であるか,被介護人の状況に対応できるか,また種々の姿勢で過重に耐えられるかなど実人間で実験する前に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の所に時間がかかり,胴体部~腰にかけての力覚インターフェイスの設計,製作が遅れた。それにより,その製作のためのモータ,ドライバー,材料費,加工費などを翌年度に回した。
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次年度使用額の使用計画 |
1.次年度予算は,昨年度未完成であった胴体部~腰にかけての力覚インターフェイスの設計,製作費用にあてる。 2.そのほか,試験補助,データ整理補助,海外発表のための出張費などに予算を使う。
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