研究課題/領域番号 |
15K13905
|
研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
松本 潔 東洋大学, 理工学部, 教授 (10282675)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 摩擦係数 / 圧力センサ / せん断力センサ / 局所滑り |
研究実績の概要 |
本研究課題では、人の触覚受容器の構造を規範とし、接触面との摩擦係数を接触した瞬間に検出できる摩擦係数センサを、MEMS技術を用いて創出することを目的とする。平成28年度は、対象との接触時に摩擦方向への力を発生させる局所滑り生成構造の探索を継続すると共に、センサ信号のリアルタイム計測処理技術の探索、ロボットを用いた評価実験およびアプリケーションの探索を開始した。 局所滑り生成構造の探索に関して、斜状突起を平面に押しつけた際の、変形の異方性を用いる構造を検討した。斜状突起を平面に押下し圧力を加えていくと、加圧に従って反力がせん断方向の力を持つようになり、やがて圧力よりせん断力が勝って横滑りをおこす。原理検証モデルとして、歪みゲージを貼付したリン青銅板をシリコンゴム製の斜状突起に埋め込んだセンサ構造を試作した。さらに小型モデルとしてMEMS3軸触覚センサ上に樹脂による毛状構造を斜めに埋め込んだセンサ構造を試作した。どちらのセンサとも、圧力とせん断力の検出、および摩擦係数の算出が可能であることを確認した。 センサ信号のリアルタイム計測処理技術の探索に関し、センサ信号を増幅し、ワイヤレスで伝送するシステムを構築した。評価実験およびアプリケーションの探索として、踏み込んだ時に前足部が微小滑りを起こすことを利用した、ロボット用の摩擦係数検出足機構を開発した。前足部に微小滑り構造と3軸触覚センサ組み合わせた足機構を試作し、摩擦係数計測を行った。また、表面に摩擦力検出機構を組み込んだ、摩擦係数検出タイヤを考案した。1/8スケールのラジコンモデルのタイヤに3軸力検出機構を組み込み、走行時の検出信号をワイヤレスで伝送した。スリップ発生の検出、およびその時の圧力とせん断力の比から、摩擦係数の導出が可能であることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の研究成果の他に、前年度に継続して高感度なカンチレバー型検出構造の研究を行い、微小液滴の衝突時の液圧分布や界面振動の様子の計測を行った。MEMS3軸触覚センサと毛状構造組み合わせたセンサにおいて、毛状構造が引っかかり滑りが発生しない事例が合ったが、先端部を丸くすることにより解決できる見通しを得ている。以上より、研究は概ね順調に進展していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、対象との接触時に摩擦方向への力を発生させる局所滑り生成構造の探索を進めるとともに、摩擦係数を導出するためのセンサ信号のリアルタイム計測処理技術の探索、ロボットを用いた評価実験およびアプリケーションの探索について、さらに研究を深めてゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ロボット用の摩擦係数検出足構造の開発において、機構部材の加工を外部業者に外注する予定であったが、3Dプリンタを活用することにより外注の必要がなくなった。また。国外での学会発表を予定していたが、不参加となった。そのため、これらの費用が繰り越しとなった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の実験装置の試作費に充当し、有効に活用する。
|