研究課題/領域番号 |
15K13906
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
光石 衛 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90183110)
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研究分担者 |
山本 江 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20641880)
杉田 直彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70372406)
原田 香奈子 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80409672) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロロボット / 手術支援 / 手術ロボット / 磁場制御 |
研究実績の概要 |
本研究では,体内を自由に動き回るマイクロロボットによる脳動脈瘤の治療を目的としている.脳動脈瘤に対してカテーテル治療を行う場合,大腿部から挿入したカテーテルを操作して血管分岐を辿り脳深部の動脈瘤まで誘導することは困難である.そこで,カテーテル先端に永久磁石でできたマイクロロボットを装着し,外部磁場によりマイクロロボットを誘導することを提案してきた.先行研究では,大型のコイルを各駆動軸ごとに2対配置する方法が多いが,システム自体が大型になり,また可動範囲が限られる.本研究では1対のコイルを産業用ロボットアームに装着することで,体内の任意の場所での制御を可能にする. 今年度はまず,一対のコイルを回転するシステムを用いて実験を行い,制御に必要なパラメータを特定した.コイル間に分岐を持つ血管モデル(直径3mm)を配置し,流速を制御するシステムを構築した.また,カメラによりマイクロロボットを観察し,マイクロロボットの位置に基づいて磁場の制御を行うシステムを構築した.最大流速0.1 m/sの拍動流の中で,マイクロロボットの位置を制御し,血管分岐を誤差3 mmで実現した. 次のステップとして,産業用ロボットアームにコイルを装着するための実験装置の開発を行った.将来的に2台の産業用ロボットアームを用いることでコイルの位置・姿勢を独立に制御することができるため,3次元の血管分岐モデル内でマイクロロボットを誘導することが可能になる.15~30分でカテーテルの挿入,治療,抜去を行うことを想定してシミュレーションを行い,産業用ロボットアームの制御及び磁場の制御のパラメータを設定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は1台の産業用ロボットアームにコイル間距離を固定した一対のコイルを搭載することを想定していたが,2台の産業ロボットアームによりコイルを独立に制御することを思いつき,そのための研究を進めた.当初の計画よりも可動範囲がはるかに大きく,また,学術的に独節的なアイデアである.既に産業用ロボットアームへの搭載を進めており,当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は産業用ロボット1台による制御の研究を開始した.来年度は引き続き,ロボット1台を用いて制御の研究を進める.6月より産業用ロボット2台目を使用した協調制御を行う.また,成果の積極的な投稿を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では産業用ロボットアーム2台目をレンタルする予定であったが,まずは1台目を用いて制御の研究を進めてから2台目をレンタルする方が試行錯誤なく研究を進められると考えた.
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次年度使用額の使用計画 |
2台目の産業用ロボットアームのレンタル費用として支出する.
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