これまでのロボット研究は,ひたすら「高機能化・重装備化」を追い求めてきた.これにより数多くの優れたロボットを実現してきたが,一方でロボットの「重量化」と「システムの複雑化」といった問題を招く原因にもなっている. 申請者は,これまでとは真逆とも言える新しい考え方として,「Giacometti(ジャコメッティ)Robotics」を提案した.「超軽量,超長尺,超シンプル」なロボット実現を目指した新しいロボティクスの一領域である.本研究は,具体的なGiacometti Robotを試作,評価することで,その可能性を実証することを目指したものである. 平成27年度には.細脚軽量歩行ロボットを試作した.平成28年度は,(1)細脚軽量歩行ロボットの制御系を開発し,野外での走行試験や階段からの落下試験を行い,GIacometti robotの特徴である「可搬性」,「本質安全性」を実証するとともに,(2)ヘリウムガスで中世浮力化した全長20m,総質量980g,動作軸数20のバルーン型アアームを試作しし高所建造物の模擬試験点検作業を実施し,「可搬性」および「本質安全性」を実証した. 平成29年度は,上記Giacometti robotの改良と動作解析を進めるとともに,従来ロボットとGiacometti robotの中間的な性質(長さ5m,総質量1kg,可搬質量1㎏程度のロボットを試作,評価し,従来ロボットからの連続的な設計手法を明らかにした.
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