マイクロ流体チップ内で,大きさが100 マイクロメータ前後の卵細胞(マウス)を非接触で三軸姿勢制御し,機械的特性をその場計測した.実績を以下にまとめる. (1) 卵細胞の三軸姿勢制御:マイクロ構造体を有するマイクロ流体チップを三次元的に加振し,局所流れを制御する方式を提案し,2次元平面の振動誘起流れを解析した.また,チップを試作して三軸姿勢制御システムを構築して姿勢制御できることを示した.チップ内にマイクロ構造体を配置した.圧電素子にてチップ全体に回転振動を与えることで,3つのマイクロ構造体の中心に振動誘起流れを生成し,卵細胞が回転した.振動の回転方向を変えることで逆方向に回転を制御した.マイクロ構造体を有するチップおよび加振システムを構築し,顕微鏡画像から卵細胞の姿勢を計測し,姿勢が制御できることを示した. (2) 偏光観察による卵細胞の密度指標:偏光観察カメラを用いて卵細胞の透明体の光学特性を計測した.リターダンス(位相差)から卵子の個体の違いを評価する実験を行った.透明体の密度指標を得るまでにはいかなかった. (3) 卵細胞の機械特性の計測:観察する焦点面内の姿勢制御機能を有するマイクロ流体チップ内にオンチップロボット(プローブ)および超小型力センサを組み込み,プローブ先端で姿勢制御した卵細胞を変形し,その機械的特性を計測した.オンチップロボットおよび超小型力センサを設計製作した.振動誘起流れによって卵細胞を計測箇所に搬送した. オンチップロボットを用いて卵細胞を変形し,画像計測による変形より力計測した. (4) システム統合と卵細胞の評価: 卵細胞を振動誘起流れによって姿勢制御し,変形モデルに基づいて卵細胞のヤング率を算出した.卵細胞の活性を非侵襲で評価するための方法論を示した.
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