圧力センサの分解能はメイン流路内の圧力変化ΔPに対する圧力伝達器容積の変化ΔVで決まる。この原理に基づいて材料力学的シミュレーションを行い、圧力伝達器の最適パラメータを決定した。またセンシングエリアは、マイクロビーズの動きを決定する重要な部分で流れのシミュレーションと連動させて最適パラメータを決定算出した。この最適パラメータに基づき,PDMSを用いたOn-Chip隔壁型マイクロ圧力センサのプロトタイプモデルを試作し、圧力伝達器及びセンシングエリア部に直径1μm程度のマイクロビーズを生理食塩水で混ぜて入れ、挿入口を塞いだ後、ビーズパターンと圧力を対応づけるため、従来型圧力センサを用いたキャリブレーションを行った後、提案する圧力センサ内蔵の流路を用いて細胞変形能試験を行った。従来型圧力センサの静特性は一般に入出力間の間に高い線形性が認められるが、On-Chip隔壁型マイクロ圧力センサの場合、マイクロビーズが壁面に付着する等の影響により弱いながらも非線形特性が現れた。マイクロビーズの壁面付着問題を解消するため作動流体自体を着色し、圧力変動によるセンシングエリアの体積変化を作動流体の色の濃淡変化としてRGBで捉える方式に変更したところ、静特性に内在していた非線形性特性は大幅に改善することができた。また動特性については、10Hz程度まで対応できることを確認した。これらの実験結果により、最終的には作動流体のRGB変化に着目する方式の優位性を明らかにした。
|