平成29年度はバルーンの展開方法と材質の改良、無線給電方式の改良、小型プロトタイプの製作、及び人体ファントムを用いた実証実験を行った。 バルーンは最終的にシリコーンとポリ塩化ビニルの2層構造とし、内側にポリイミドベースのフレキシブルアンテナを設置した。無線給電・通信動作にはNFC規格の無線タグICを利用し、アンテナ形状と給電アンテナの改良により人体ファントム内で10~15cmの距離で動作を確認した。プロトタイプはマイコン、NFCタグIC、センサ(圧力、加速度等)、給電・通信兼用アンテナ、排出用アクチュエータを集積した。プリント基板を含むカプセルは直径10mm長さ21mmの円柱形で実現した。 本研究の目的は、シリコンバルーンを用いて消化管(胃)内に留置可能で、かつ環境発電(エナジーハーベスティング)により長期間連続動作可能な生体タグを開発することであった。これ対して、研究機関全体を通じて、飲み込み時の展開方式(クエン酸と重曹による化学反応)、電気分解による超小型排出用アクチュエータ、NFCを用いた無線給電・通信とバルーン一体型フレキシブルアンテナを開発した。提案技術によって、当初の目標サイズの範囲内で計画していた全ての機能を実現し、プロトタイプによる実証実験を行うことができた。
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