本年度(平成28年度)は「視覚的質感の"混色"(混合)」に関して、定式化および実証を行った。 昨年度(平成27年度)において、正反射光と散乱光の強度比(「散乱度」と呼称)が視覚的質感の定量的な指標になることを示した。これをさらに進め、元となる2種類の表面の散乱度とその面積比から、提示される視覚的質感を算出する定式化を実現した。これは、「色提示」に関して、「白」と「黒」の小さな四角が集まっているとき、それらの面積比から遠くから見たときの「灰色」の度合いが計算できるというのと似ており、「視覚的質感提示」において、「つるつる」と「ざらざら」の小さな四角が集まっているとき、それらの散乱度と面積比から遠くから見た時の散乱度が計算できるというものである。計算から得られた散乱度と、実測による散乱度を比較することにより、定式化の信頼性も確認した。 さらに、発展として、面積比による視覚的質感の混合(空間分割混合)と同様に、時間割合による視覚的質感の混合(時分割混合)が可能であることを示した。これは、回転する円盤に、「つるつる」と「ざらざら」の表面を放射状に配置し、回転させることにより、視覚的質感の混合を行ったものである。
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