本研究の目的は電気集塵技術を用いてディーゼル排ガス中のに存在する微粒子(PM)を除去するために必要な手法のfeasibility studyを行うことを目的としている。昨年度までの研究によって、集塵電極上に微細加工を施すことによって捕集した微粒子の再飛散を抑制する手法に関する知見および捕集した微粒子を放電プラズマを用いて温和な条件下で酸化(燃焼)する手法に関する知見を得た。本年度は放電を用いない微粒子の帯電法の実験的検討を行った。
電気集塵技術は数十ナノメートル程度の微粒子を物理的なフィルタと比較して極めて低い圧力損失で補修することが可能である特徴を有している。しかしながら、通常コロナ放電による単極性イオン場を利用して微粒子の帯電を行うため、高電圧を必要とし、オゾン等の生成が不可避であるという問題点を有している。電気集塵装置を車載するためには低電圧化および低消費電力化が必要である。また、未燃の燃料等の炭化水素を含む排ガス中で放電を発生させることによって炭化水素から微粒子が生成される可能性が指摘されており、放電を用いない微粒子の帯電方法の開発が求められている。
本研究ではコロナ放電の代わりに誘導帯電を用いる微粒子帯電装置を検討した。微粒子を含んだガス流の中で高電圧電極を回転させる構造とすることで、コロナ放電を発生させない程度の十分に低い印加電圧値においても微粒子の帯電が可能であること、帯電量が印加電圧上昇および電極の回転速度依存的に増加することを明らかにした。この帯電部を用いた2段式電気集塵装置を試作し、集塵効率が帯電量と相関を持っていることを確認した。また、固定電極型の誘導帯電を用いた微粒子帯電装置においてもコロナ放電発生電圧以下で微粒子の帯電を確認し、これを用いた電気集塵が可能であることを明らかにした。
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