単層カーボンナノチューブ(SWNT)の金属または半導体性質の直接合成を目指した。SWNTの最短骨格環状構造であるシクロパラフェニレン(CPP)を輪投げの方式で土台分子のフラーレンに導入後、CPP同士を熱融合させることでSWNTの合成を行なった。電子顕微鏡像観察により、得られた構造には非晶質構造が含まれていたが、目的とする円筒状構造のSWNTも観察された。またラマン分光分析から、SWNT由来のピークが観測され、得られたSWNTは半導体的性質を有することが示唆された。しかし、CPPは金属SWNTの最短骨格構造であるため、今回の熱処理では、CPPの環状構造が崩れて熱融合した可能性が示唆された。
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