研究課題/領域番号 |
15K13949
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤原 宏平 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50525855)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化物エレクトロニクス / スピン軌道相互作用 / スピン流 / 電界効果トランジスタ |
研究実績の概要 |
純粋なスピン角運動量の流れであるスピン流を電圧として読み取ることのできる「スピン流計」の実現に挑む。金属や半導体に比べて、スピン流操作の源であるスピン軌道相互作用が強いことが期待されながらもデバイス材料として未開拓な酸化物に対し、スピン流から電圧への変換現象である逆スピンホール効果の評価に取り組む。研究代表者の異動に伴い、アクセスできる実験装置に変更が生じたため、初年度はデバイス作製プロセスの整備に重点を置いて、下記項目を実施した。 1.パルスレーザー堆積法による酸化物単結晶薄膜の合成:4d電子系酸化物の薄膜を作製し、X線回折、原子間力顕微鏡による表面観察、電気抵抗率測定を通して、製膜条件の最適化を行った。 2.デバイス作製プロセスの構築:フォトリソグラフィーおよびArイオンミリングを用いて、種々の酸化物薄膜の加工条件を調べた。スピン流の注入および検出には、金属/酸化物界面での良好なオーミック接触(あるいはトンネル接合)が必要なため、接合の電流電圧特性を中心に評価を進めた。上記実験と並行して、電界効果によるスピン軌道相互作用の制御に向けた予備実験を進めた。代表者のこれまでの実績をベースに、有機ポリマーであるパリレンCをゲート絶縁体とした電界効果トランジスタ構造の作製を試みた。年度後半より、反応性スパッタに必要な設備を導入し、高い誘電率を有する酸化物ゲート絶縁体やスピン流輸送における試料表面での緩和を抑制するキャップ層の製膜に取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実施計画に記載したIr系酸化物の薄膜合成および電子線リソグラフィーによる微細加工が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で製膜条件が確立できている物質を中心に、逆スピンホール効果や電界効果の測定に必要な要素構造(細線や金属/誘電体/酸化物積層構造)の作製に取り組む。同時に、共同研究のチャネルを利用するなどして、多様な酸化物でのスピン流制御の可能性を探る。
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