研究課題/領域番号 |
15K13959
|
研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
竹内 哲也 名城大学, 理工学部, 教授 (10583817)
|
研究分担者 |
宮嶋 孝夫 名城大学, 理工学部, 教授 (50734836)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | アンチモン / 価電子帯制御 / サーファクタント効果 |
研究実績の概要 |
(1)高Sb組成AlGaNSbの実現:様々な成長条件を試みた結果、窒素キャリアガスとキャリアガス流速増大により、最大1%Sb組成GaNSbが得られた。また、組成決定においてRBS測定を行うことで高い精度で組成を測定した。一方で、放射光を用いた分光により、Sbが正しくNサイトに入っていないことも明らかになってきた。以上より、現時点では、高Sb組成GaNSb混晶の実現は難しい状況である。 (2)低温成長p型層:アンドープおよびMgドープGaNSb混晶の電気的特性を評価した。いずれも強いn型を示し、その原因は膜中に取り込まれた高い酸素濃度が原因であることを見出した。この高い酸素濃度はSbが含まれている層にのみ観察され、現在、Sb原料内に混在しているのか、あるいはSb原料が結晶成長中に酸素を取り込む割合を高くしているのかはわかっていない。いずれにせよ、p型化は極めて厳しい状況である。そこで、代表者が有するトンネル接合を利用することで、n-GaNSbを利用することで低温p側構造の形成に方針転換した。その結果、抵抗増大はみられたものの、均一な電流注入が可能なことがわかった。 (3)黄色発光層:まずは、GaInN/GaN量子井戸による長波長化を試みた。温度を700度以下に下げることで500nm以上の発光を示したが、発光強度が極めて弱くなった。一方、成長速度を上げることでInの取り込みを増大させた結果、720℃にて600nmにて一定の発光強度で発光するGaInN量子井戸の形成が可能になった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高Sb組成GaNSbとそのp型化が難しいことを示唆する結果が得られている。一方で、p型化が困難であっても、トンネル接合と組み合わせることで、低温成長で電流注入可能なp側構造の可能性も見え始めている。また、GaNSb黄色発光層は実現していないが、GaInN層のみでも黄色発光する試料が実現し始めている。
|
今後の研究の推進方策 |
GaNSb混晶の基礎的な検討(新Sb原料の利用と放射光による結晶学的評価)を進めつつ、トンネル接合と低温成長n型GaNSb層を組み合わせた低温成長p側構造とGaInN黄色活性層を用いた黄色発光素子の実現に注力する。特に、低温p側構造による低温成長の、黄色活性層発光強度保持の効果について検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額は当初の予算額の1%程度であり、ほぼ予定通りに推移している。
|
次年度使用額の使用計画 |
トンネル接合と組み合わせた低温成長p側構造による黄色発光素子を目指すという方針転換を行ったため、使用予定金額に変更はないが、使用内容に変更が生じる可能性がある。
|