研究課題/領域番号 |
15K13963
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
末光 哲也 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (90447186)
|
研究分担者 |
松岡 隆志 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (40393730)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 窒化物半導体 / パワーデバイス / トランジスタ / SCAM基板 |
研究実績の概要 |
ScAlMgO4(以下SCAMと表記する)を基板材料として用いて窒化ガリウム(GaN)系材料をその上に成長して縦型トランジスタを実現することを目標とする。 研究の2年目に当たる本年度は、昨年度に確立したSCAM基板上へのGaN単層の成長技術を基礎に、トランジスタ作製に必要となるAlGaN/GaNヘテロ構造を成長することを目標とした。しかしながら、実験室におけるプロセスガス配管増設工事や結晶成長装置の故障等によって合わせて1年の約半分に当たる5ヶ月以上の間、結晶成長が行えない状況となった。このため、当初は本年度が計画の最終年度であったが、1年間の補助事業期間延長を申し出て、承認された。 一方で、これまでに成長した結晶の評価やデバイス施策の検討から、いくつかの重要な知見を得た。まず、SCAM上に成長したGaN結晶には、SCAMの構成原子であるScやMgが不純物として混入していることが分かった。また、SCAM基板裏面を適切な保護膜でカバーしたり、GaN層中にAlNの拡散防止層を挿入することによって、これらの不純物の混入を抑制できることが分かった。デバイス作製プロセスでは、SCAM基板およびGaN系トランジスタの加工に必須であるドライエッチングについて、そのプラズマダメージがデバイス動作に悪影響を及ぼすことが懸念されているため、プラズマダメージを究極まで低減することが期待される中性粒子ビームエッチングをGaN系材料に初めて適用し、AlGaN/GaN高電子移動度トランジスタにおいて実際にプラズマダメージが原因と思われる電流コラプスの発生を抑制できることを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
SCAM基板上にAlGaN/GaNヘテロ構造を結晶成長することが本研究では不可欠となるが、平成28年度は実験室のプロセスガス集中配管の工事や結晶成長装置自体の故障によって、延べにしてほぼ半年の間結晶成長が実施できず、この結晶成長に関する研究に遅延が生じている。このため、1年間の補助事業期間延長を申請した。
|
今後の研究の推進方策 |
現在も停止している結晶成長装置は4月中には運転を再開できる見込であり、再開され次第、SCAM基板上へのAlGaN/GaNヘテロ構造の結晶成長の実現を目指す。更に、実現した結晶を用いてSCAM基板上で高電子移動度トランジスタを作製し、良好な電気特性を得ることを目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験装置が長期に渡り使用不可能となったため、補助事業期間延長の申請を行い、承認されたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度実施予定であった結晶成長の研究に必要となる消耗品等の購入に使用する。
|