研究課題/領域番号 |
15K13978
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
安田 雅昭 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30264807)
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研究分担者 |
小寺 正敏 大阪工業大学, 工学部, 教授 (40170279)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 半導体リソグラフィ / パターン形成 / マルチスケール解析 / モンテカルロ法 / 分子動力学法 / 極端紫外線リソグラフィ |
研究実績の概要 |
本研究課題において解析対象とするパターン形成技術の中でこれまで補助事業者が実施したことがなかった極端紫外線リソグラフィのパターン形成過程を再現する分子シミュレーションを開発した。 極端紫外線の吸収にともなう光電子の発生過程と散乱過程を電子散乱のモンテカルロ法により解析し、レジスト中での吸収エネルギー分布を求めた。低エネルギー光電子の散乱過程は個々の非弾性衝突過程を考慮していない簡易モデルを用いて再現した。得られた吸収エネルギー分布を基に、極端紫外線露光によるレジストの反応過程とその後の現像過程を分子動力学法により再現した。 露光過程においては、レジストの各位置において吸収エネルギー分布により重みを付けてポリマー分子の主鎖切断を一定時間ごとに導入しながら、分子動力学法により構造緩和することで極端紫外線露光に伴うレジストの構造変化を再現した。現像過程においては、露光により切断された分子断片を分子量の小さなものからレジストより除去していきながら、分子動力学法で構造緩和した。この過程をレジスト表面から基板界面に向けて進行させていくことで現像過程におけるレジストの構造変化を再現した。 電子線リソグラフィやナノインプリントに関しては、これまでに開発済みの分子動力学シミュレーションを用いて異なる条件でのパターン形成を解析し、主にパターンのラフネスについてのデータを蓄積した。また、電子線露光によるレジスト収縮現象を例として次年度以降に実施するマルチスケール解析を試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の実施内容として中心に掲げていた極端紫外線リソグラフィの分子シミュレーションに関して簡易モデルに基づくものであるが開発に成功した。この成果は国際会議において報告を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
3つのリソグラフィ手法に対し、分子動力学解析モデルと連続体解析モデルを用いたパターン形成のマルチスケール解析を様々なプロセス条件に対して実施し、データの蓄積を行う。 電子線リソグラフィについては加速電圧、露光量、レジスト分子量などをパラメータとして、分子動力学モデルとセル現像モデルを用いたパターン形成解析を実施する。 極端紫外線リソグラフィについては、27年度に引き続き分子動力学シミュレーションの開発を継続する。特に低エネルギー光電子の散乱過程のモデルの高精度化を行なう。また、露光量やレジスト分子量などをパラメータとして、セル現像モデルを用いたパターン形成解析も同様に実施する。 ナノインプリントについては、モールドサイズ、レジスト膜厚、レジスト分子量などをパラメータとし、分子動力学モデルと連続体力学モデルを用いたパターン形成解析を実施する。 形成するパターンサイズやレジスト分子サイズを主な指標として、用いる解析モデルによるパターン形状の解析結果の違いについてのデータを蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の実施テーマの中心である極端紫外線リソグラフィのシミュレーション開発において、光電子の散乱に関するモンテカルロシミュレーションに比較的簡易なモデルを導入したため、この段階では現有のパーソナルコンピュータを用いてシミュレーションを実行することが出来、高性能なワークステーションを購入せずに研究を遂行することが出来た。
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次年度使用額の使用計画 |
2年目に実施する極端紫外線リソグラフィのシミュレーションでは光電子散乱のシミュレーションモデルを高精度化するため、初年次に予定していたワークステーションを購入してシミュレーションの開発を実施する。
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