研究課題
SQUID顕微鏡は検出コイルに垂直に交差する磁場成分を測定できるが、検出コイルに平行な磁場の成分は計測できない欠点があった。本研究では、世界最高Nb多層プロセスCRAVITYを利用して、互いに直交する3つの検出コイルをワンチップで、磁場ベクトル測定を可能にする構造を持たせた。平成27年度、大阪府大では、検出コイルと測定試料の相対位置がXYZピエゾで精密に駆動でき、磁場ベクトル空間分布が決定できるベクトルSQUID顕微鏡のCAD設計を行った。秋田大では、行列の特異値分解法による逆変換アルゴリズムを開発し、大阪府大のSQUID顕微鏡システムのデータ処理に用いた。産総研では、大阪府立大学で設計したベクトル磁場検出のできるSQUID素子の製作を行った。大阪府立大学では、XYZ3軸を高精度走査できる極低温走査系をLabVIEWで構築するために新しくX軸駆動のステージを購入した。YZ軸については予算的に新規の購入ができなかったので既設のものを用いた。SQUID検出用の3コイル方式のベクトル磁場検出SQUID素子は産総研のNb多層化プロセスの基板と平行面内でコイル面(Z軸)を形成し、Nb層間コンタクトホールを組合せて基板方向(X軸、Y軸)直交2検出コイルを作製した。特に、XYZとも試料表面から同じ高さにくる工夫を行った。検出は、トランス結合化、グラジオメーター化、低インダクタンス化、低雑音化、高速応答化で独自の工夫をしており、市販品と比べて格段に高い性能が期待できる構造とした。「行列の特異値分解」という方法を用いて、試料外部に磁場を作り出す実質的な3次元磁化分布を再構成できる新規なアルゴリズムを開発し、SCILAB言語で完成させた。また、データ処理でも磁束の絶対が評価できるyほうに工夫をした。新規のSQUID顕微鏡での測定は間に合わなかったが既設のSQUID顕微鏡と超伝導微小板を用いて測定した磁束分布データを用いて、ソフトウエアが有効に機能することを確かめた。
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Physics Procedia
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.phpro.2016.04.035
10.1016/j.phpro.2016.04.036
IEEE Xplore Superconductive Electronics Conference (ISEC)
巻: SQ ページ: P30 1-3
Physica C
巻: 518 ページ: 44-46
https://unit.aist.go.jp/neri/cravity/ja/index.html