研究課題/領域番号 |
15K13982
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
寺嶋 亘 国立研究開発法人理化学研究所, 平山量子光素子研究室, 研究員 (30450406)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 両面金属導波路 / 窒化物半導体 / メタルボンディング / ウェットエッチング / レーザリフトオフ / テラヘルツ / 量子カスケードレーザ |
研究実績の概要 |
本課題は新機軸両面金属導波路構造の作製技術を構築することで、窒化物半導体を用いたテラヘルツ量子カスケードレーザの動作温度の高温化を実現することを目的としている。窒化物半導体における両面金属導波路構造の作製にあたって、レーザリフトオフ工法による均一大面積での基板剥離を可能にするために、剥離界面を凸凹加工後、極薄GaNアブレーション層を挿入したMOCVD法横方向成長構造を提案した。当該年度では、レーザリフトオフ工程に先立って必要なサンプル基板とレセプタ基板(GaAs)の良好なメタルボンディング条件の探索を行った。金属蒸着(Al/Au)した基板同士を加圧力、加熱温度、時間を変化させて融着状態を調べた。加圧力が120kg/cm^2では基板にクラックが入ることが分かった。加熱温度240℃以上では金属が変色しシート抵抗が上昇してしまうことが分かった。最適なメタルボンディング条件は加熱温度200℃、加圧力100kg/cm^2、時間40分であることが分かった。また、熱硫酸によるサファイア基板のウェットエッチング条件の探索を行った。硫酸とリン酸の混合液を用いることで、サファイア基板のエッチングができることを確認した。また、エッチャント温度が275℃以上で急速にエッチングが進むことが分かった。現在凸凹加工上極薄GaNアブレーション層を挿入したMOCVD法横方向成長構造によるレーザリフトオフの条件の探索を行っており、今後条件を詰めていく予定である。万一上記構造でのレーザリフトオフによる均一大面積基板剥離がうまくいかない場合、代替方法として上記ウェットエッチング法を活用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では、「極薄GaNアブレーション層を挿入したMOCVD法横方向(ELO)成長の条件確立」及び「サンプル基板とレセプタのメタルボンディング条件の確立」を行う計画であった。基板のメタルボンディング条件の確立についてはおおむね条件を確立することができた。極薄GaNアブレーション層を挿入したMOCVD法ELO成長条件の探索については現在研究を進めているところであるが、装置上の問題が発生し現時点で確立には至っていない。引き続き研究を進める。本研究では上記計画以外に、濃硫酸によるサファイア基板ウェットエッチングによる基板剥離という方法も模索した。上記構造によるレーザアブレーション及びウェットエッチング両面からの方法でより迅速に研究が進む方法で目的を達成したい。
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今後の研究の推進方策 |
今後、本課題で提案した、凸凹加工上極薄GaNアブレーション層を挿入したMOCVD法ELO成長構造によるレーザリフトオフの条件の確立を進める。また、均一大面積レーザリフトオフ条件を確立すると共に、窒化物半導体での両面金属導波路構造を作製しそのデバイス特性の評価を行う予定である。以上の課題を達成することで、GaN系THz-QCLの高温動作化を実現する計画である。
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