研究課題
本研究では、帯域の異なる超広帯域システム間の境界において、帯域整合を行う光シリアル―パラレル変換のための新しい高密度な手法の創出を目的とし、新しい“多重化方式”と“時間レンズ”を利用した独創的な方法の実現に挑戦した。特に、本研究では、時間的に高密度なナイキストパルスの導入に挑戦することにより、低消費電力化とスペクトル利用効率に関して構成デバイスの物理的制限を受けていた従来の光シリアル―パラレル変換における性能限界の打破を試みた。初年度は、“線形な”時間レンズを用いたナイキストパルスの発生方法を実験的に確立するために、時間レンズを介して理論的にナイキストパルスとの変換が可能な新しい多重化方式であるFr-OFDMからのナイキストパルス列の発生を試みた。その結果、~間隔の3つのFr-OFDMマルチチャネルから~間隔の時間的に高密度なナイキストトリプルパルス列を生成することに成功した。最終年度は、初年度に実験的に確立したナイキストパルス列の新しい線形な発生方法に加え、逆の工程となるナイキストパルス列から各マルチキャリアへの並列変換方法を実験的に検討し、光シリアル―パラレル変換の一連の基本動作の実現を目指した。その結果、25 ps間隔の時間的に高密度なナイキストトリプルパルス列に正弦波状の広帯域シリアル信号を重畳し、光シリアル―パラレル変換を介して、各パルスに重畳された振幅情報をRMS誤差13%以下の精度で並列に出力することに成功した。ナイキストパルス由来の高いスペクトル利用効率を担保した状態で、従来の非線形な手法の報告と比較して、消費電力を大きく低減できることを確認した。
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IEICE Electronics Express
巻: 14 ページ: 1-8
http://doi.org/10.1587/elex.14.20170099