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2015 年度 実施状況報告書

異常血管位置検出のための電波型腹腔鏡アンテナシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K13990
研究機関長崎大学

研究代表者

藤本 孝文  長崎大学, 工学研究科, 准教授 (40264204)

研究分担者 田中 俊幸  長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50202172)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードアンテナ / 電波型腹腔鏡 / 血管位置検出 / ファントム / 合成開口処理
研究実績の概要

提案する電波型腹腔鏡アンテナシステムは,最初に小型アレイアンテナ,合成開口処理プログラム,実験用ファントムを作成する必要がある。本年度は小型アレイアンテナ,実験用ファントム作成を中心に研究を行った。
①小型アレイアンテナの開発:小型化が可能な平面アンテナであるマイクロストリップアンテナを用い、4素子アレイアンテナの設計を電磁界シミュレータにより行った。ここでは、各アンテナの反射係数およびアンテナ間の透過係数に着目し、アンテナの設計を行っている。アンテナ間が近距離に配置されているが、すべてのアンテナにおいて、反射係数が-10dB以下、透過係数が-18dB以下を実現した。さらに、シミュレーション上において、血管を含む場合と含まない場合の脂肪を、設計したアンテナの前方に配置し、血管の有無による透過係数特性の違いについて比較検討を行った。その結果、アンテナを脂肪から離した場合には、血管の有無による透過係数の差は非常に小さかったが、アンテナを脂肪に密着させた場合、透過係数に大きな差が見られた。この結果より、提案するシステムでは、アンテナを脂肪に密着しての使用が有効であることが明らかになった。
②脂肪、血管ファントムの作成:脂肪中に埋もれた血管を模擬したファントムを作成した。人体の脂肪、血管と同程度の比誘電率(脂肪:4.7、血管:45)を持つファントムの作成に成功した。しかし、血管ファントムを脂肪ファントムに挿入した場合、血管ファントムの成分が脂肪ファントム中へ染み出すことが判明した。この対策として、血管ファントムにマニキュアのトップコートを塗布し、乾燥後にUVハードレジン液を塗布し、最後にUVライトを照射することにより、この染み出しを防げることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の予定では、①多素子アレイアンテナのシミュレーションによる設計、②合成開口処理法の理論確立、③血管ファントムの作成であった。多素子アレイアンテナの開発では、シミュレーションでの設計の他、試作、測定による評価まで行った。合成開口処理に関しては理論確立までには至らず、現在、理論式導出を行っている。このように、アンテナ作成に関しては予定より大幅に早く進んでいるが、合成開口処理に関しては若干遅れている。また、ファントム作成に関しては、血管ファントム、脂肪ファントムの作成、および血管ファントムを脂肪ファントムに挿入した場合に生じる染み出しの対策法を確立した。このように、研究は概ね順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

申請当初に予定した通り2年目では本課題経費で購入予定のネットワークアナライザーを用いて、アンテナ試作器の測定値評価を中心とした開発を行う。また、合成開口処理プログラムの完成を目指す。プログラムは、研究室が所有するPGIfortranコンパイラを使用する。ファントム作成に関しては、当初、検出すべき血管は、臓器に付着した脂肪中に存在するものを想定していた。しかし、腹腔鏡手術では、最初に脂肪を臓器より剥がし、その後、脂肪中の血管を傷つけないように脂肪と血管を分離させる作業を行う場合が多い。したがって、予定していた臓器に脂肪が付着したモデルを考える必要はなく、臓器(肝臓)ファントム作成は本課題から除外する。本年度は、血管ファントム、脂肪ファントムの精度向上の検討および血管の大きさ、位置、形状の異なるファントムの作成を行う。
試作したアンテナ、ファントム、合成開口処理プログラムを使用し、血管位置検出の実験を行う。実験はネットワークアナライザーを使用し、本学が所有する電波暗室で行う。

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公開日: 2017-01-06  

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