研究課題/領域番号 |
15K13993
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
佐和橋 衛 東京都市大学, 知識工学部, 教授 (50449287)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移動体通信 / デュープレクス / フルデュープレクス / 自己干渉 / 干渉キャンセラ / ディジタル自己干渉キャンセラ / 参照信号 / 直接変換受信機 |
研究実績の概要 |
1.フルデュープレクス(FD: Full Duplex)送受信機におけるディジタル自己干渉キャンセラの自己干渉抑圧レベルの目標値の検討 FDを実現するために,既存の研究報告に基づいて,送信機及び受信機で異なるアンテナを用いる40 dBのアンテナアイソレーション,アナログ自己干渉キャンセラの40 dBの自己干渉(SI: Self-interference)の抑圧レベルを仮定した場合のディジタル自己干渉キャンセラ(DSIC: Digital Self-Interference Canceller)のSIの所要抑圧レベルを検討した.具体的には,FDを用いる直接変換送受信機において,SI,送信部電力増幅器の3次の非線形歪み,受信RF回路の2次及び3次の非線形歪み,アナログ・ディジタル変換器の量子化雑音を考慮したとき,DSICの所要SI減衰量は50 dB程度になることを示した. 2.FDにおける繰り返しディジタル自己干渉キャンセラ構成の提案と誤り率評価 SIと受信信号の復号ビット推定(シンボル推定)を交互に更新する繰り返しDISCの構成を提案した.(1)で検討した50 dBのSI減衰量を実現する条件での,繰り返しDSICのマルチパスフェージングチャネルにおける平均ブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)特性を計算機シミュレーションにより評価した.計算機シミュレーション結果より,SIのRF回路応答を高精度に推定した場合には繰り返し数が1でSI無しの場合とほぼ同等のBLER特性が実現できることを示した.また,下りリンクのチャネル応答を参照信号を用いて推定した場合,繰り返し数が2のときの平均BLERが10-2を満たすための所要平均受信SNR (Signal-to-noise power ratio)のSI無しの場合からの劣化を約0.5 dBに抑えられることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フルデュープレクスを実現するための,ディジタル自己干渉キャンセラの検討は進んでいるものの,アナログ自己干渉キャンセラの構成及び性能の検討がやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
1.送信及び受信独立アンテナを用いた場合のアンテナアイソレーションの効果を調査する. 2.アナログ自己干渉キャンセラの実現法の候補技術について,実装の実現性及び性能から最適構成を明らかにする. 3.他ユーザ干渉を考慮した場合のFDの適用環境(条件)を明らかにする.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度にアナログ自己干渉キャンセラの最適構成の検討,及び自己干渉の抑圧効果の評価まで行うことができなかったため.
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次年度使用額の使用計画 |
アナログ自己干渉キャンセラの計算機シミュレーションソフトを購入する予定である.
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