研究課題
有限体上の多値論理関数は多値論理多項式と1対1に対応することはよく知られている(リード・マラー展開).研究代表者は,この事実を,有限体に含まれる半群の直積を定義域とする関数に対し一般化し,畳み込み定理および多値論理多項式の間の積に対する高速計算法を確立した.この1対1対応は,離散フーリエ変換の類似によって与えられ,またこの離散フーリエ変換の類似はアフィン多様体符号の復号化で用いるものとは転置の関係になっている.この事実は1変数のケースが本質的であり,このときに帰着され示される(FFTの類似).この1変数のケースついて,中国剰余定理を用いた見通しの良い別証明が得られた.これらの結果について国際学会ISITA2016においてポスター発表を行った.ユークリッド整域における剰余環上の誤り訂正符号について調べた.これは特別な場合として準巡回符号や整数符号を含む,かなり一般的な枠組みである.本研究の前半では,modulo aおよびmodulo bの符号の生成行列の積により,modulo abの全ての符号の生成行列が作られることを示した.また, aとbが互いに素の時,この対応は1対1であることも示した.中国剰余定理により,これら2つの符号が存在することは分かるが,我々の結果によりそのような符号を明示的に与えることができる.本研究の後半では,有理整数環、1変数多項式環、GaussおよびEisenstein整数環、p進整数環,1変数形式的巾級数環のような典型的なユークリッド整域についてより詳細に調べた.このとき,それぞれの符号に対し被約生成行列を一意に定めることができることを示した.これは符号の構成や探索にとって有用である.最後に,これらのユークリッド整域上の行列のHecke環に,被約生成行列の理論を応用して,ある種の数え上げ公式を得た.
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進展しており,特に問題は生じていない.
当初の研究計画通り研究を遂行する.
H28年度は理論面において大きな進展が見られたため,理論面の整備を主に行ったためである.
整備された理論を生かして,構成や探索を行う.
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: vol.E99-A, no.6 ページ: 1025-1033
http://doi.org/10.1587/transfun.E99.A.1025
http://ttiweb.toyota-ti.ac.jp/public/user.php
http://www.toyota-ti.ac.jp/Lab/Denshi/InfoComm/index_ja.html