研究実績の概要 |
平成27年度課題「提案確証実験のための装置試作」を実施した。 1. X線・可視・近赤外・熱画像システムの構築:可視(400~700nm, 580x580pixels)、近赤外(950~1650nm, 256x256pixels)、熱赤外(7.5~13μm,170x170pixels)で動作するカメラを用意し、全てのカメラを 900 mmx600mmの定盤上に配置した。各画像の大きさの不均一性の解消や中心位置の微細決定等、現実的な課題が着実にこなしながら、実験環境を整えた。X線カメラは(エネルギー40keV, 630x630pixels)別構成とした。 2. 中間赤外画像システム構築の基礎実験:中間赤外領域では、常備可能で実用に供するカメラは極めて少ないため、デバイス設定・検出系設計・ソフトウェア作成の全工程での開発を試みた。デバイスには感度2.5~8.0 μmのMCT検出器を選んだ。ペルチェ素子上にスリットを構成し、スリットおよび周辺部からの熱雑音を除去しつつ検出器の視野決定が可能な空間冷却フィルターを製作した。温度は-39~+99℃(分解能1℃)の制御ができた。画像入出系は共焦点光学系とした。入射系に長焦点レンズを使用することで、葉表面上の凹凸変化を抑制する構成とした。出射系では短焦点レンズにより装置の小型化を達成した。画像化は、測定物をX-Yステージにて移動させることにより行った。画像化ソフトウェアも完成した。 3. 試作装置の基礎動作実験:イチョウの葉の各波長域での画像化を試みた。X線・可視・近赤外・熱画像取得は問題なく行われたが、ピクセル大きさの違いによる各画像の分解能の違いが問題となった。中間赤外画像では515x5pixelsの画像化に成功した。ステージ移動時間内の室内温度変化が画像へ重畳することによる、背景と葉の判別の困難さが問題となった。
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