研究課題
[目的] 高速現象には爆発、燃焼、衝突破壊、放電等のように、急激な発熱を伴うものが少なくない。本研究の目的は、代表者らが開発してきた100万枚/秒以上の撮影速度を持つ超高速撮像素子を記録手段とし、その上に赤外線光電面としてII型GaSb/InAS超格子を重ねた超高速赤外線撮像素子の開発を目指して、その基礎的特性を検討することであった。[課題] 課題は以下の通りである。1. 撮影速度と暗電流の競合の緩和、2. 超高速記録領域と超格子光電面との適切な接合回路の開発。超格子赤外線光電面では、高い量子効率を得るために歪超格子内でのミニバンド間で生じる小さなバンドギャップを利用している。したがって電界負荷をわずかに上げるだけで暗電流が急増する。一方、撮影速度を上げるには、電界を上げて信号電荷の移動速度を上げる必要がある。[研究実績] 以下の研究を行った。1. 記録手段から見た限界撮影速度についての分析、2. GaSb/InAS超格子を載せたウエーファの試作と基本特性の評価、3. 高速駆動赤外線LD照明装置の開発。限界撮影速度については、モンテカルロ法を用いた要因分析を行い、今後の開発の方向性を明らかにした。世界中の撮像素子の専門家が集まるInternational Image Sensor Workshop (2015)で発表し、優秀論文賞にノミネートされた。既に6μmの赤外線に対してGaSb/InAS超格子の試作に成功しているが、今回10μmまでを目指して300層の超格子を試作した。暗電流と温度依存性評価を行ったが、予定より非常に高い暗電流値となった。研究分担者(立命館大学木股教授)が原因究明中である。またGHzの変調性能を持つ実験用の簡易な赤外線照明装置を開発した。[研究の継続] 本研究は代表者のベトナムの大学への赴任に伴い、1年間で中断するが、研究分担者、およびこれまで超高速撮像素子の開発について共同研究を行ってきた他大学の研究者(大阪大学鎌倉准教授等)に引き継がれる。
すべて 2015
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Proc. SPIE 9555, Optical Sensing, Imaging, and Photon Counting: Nanostructured Devices and Applications
巻: なし ページ: 95550N
10.1117/12.2190512