今年度の開発目標はパラレル制御できるデジタル制御発振器の製作と、距離測定の実証実験であった。今年度に開発したシリアル制御デジタル制御発振器はWINDOWS PCから発振器モジュール内部の制御器に周波数やチャープレート、FM出力の発振間隔時間等をUSBインターフェースを用いて送信し、さらに制御器からデジタル制御発振器間はシリアル通信を行い、発振出力が始まる。このシリアル制御デジタル発振器の性能評価を電波暗室内における近距離レーダ模擬実験を用いて行った。送信アンテナを固定し、受信アンテナを移動しながら電波を送受信し中間周波数信号の位相解析を行った。ターゲットはアルミ板を用いた。解析の結果、中間周波数信号の位相は送信アンテナ-ターゲット-受信アンテナ間の距離に対応する位相が得られ、位相がアンテナの位置変化に伴い連続的に変化することから、繰り返し同一波形のFM信号を出力できることが確認できた。また、FM信号をファイバースプールおよび対向する送受信アンテナ間を伝送させて同様の位相解析を行った。ここで送受信アンテナ間の距離を光学ステージを用いてスイープしたとき、伝送距離の変化に対応した位相変化が解析により確認され、1mm以下の精度でFM信号の出力タイミング制御が可能なことを実証した。 以上の結果を基に、パラレル制御デジタル制御発振器モジュールを設計製作を行った。高速にFM波形情報を書き換えることができるように、PCからLAN配線により波形情報が記録されたファイルおよび出力トリガを制御器に送信する。制御器はパラレル回線を用いてデジタル制御発振器に高速で波形情報を送信し、高頻度の波形変更を可能にした。
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